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インタビュー H29.7.14
I:大明ネットワーク 井上様
S:新城
インタビュー:井上様
◆Q 雇用されてからこれまでにKさんの仕事の幅は増えましたか?
当初に比べてどのくらい増えていますか?◆
I:最初の頃は、手すきのときもいっぱいありました。何をして貰ったらいいかわからず、私の仕事ばかりしてもらっていました。Kさんに仕事をまかせるには再チェックが必要なので、手間もかかりますし、なかなか仕事を頂くことができませんでした。少しずつ仕事の範囲を他部署へ広げていきました。メールで見積書の押印依頼を受けますが、そのハンコはすごく綺麗に押すので、そういう仕事をするようになってから、各支店、各部署の仕事と広がっていくようになりました。
I:種類も増えましたが量も多くなっています。私は総務部にいますが、他部署からもらう仕事も多く、注文書が月末から月初にかけてとても増えます。仕事にムラがあり、1ヶ月ずっと忙しいわけではなく、手すきの時もあります。でも(仕事量は)増えましたね。だんだん増やしていきました。手が空いているときだけ頼まれる仕事もあります。皆さんがKさんに頼もうとしてくれます。その意味では重宝されています。今Kさんがいなくなったら困ります。郵便物を朝、午前、午後と行ってくれますし、分別やゴミやシュレッダーなど、凄く助かっています。
S:みなさんが後回しにしがちな仕事を頼まれているんですね。
I:そのままにしていたら困る仕事をしてもらっています。
S:Kさん用の業務をうまく調整してくださっていますね。
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I:最初はどうしていいかわからなかったですが、クロスジョブさんがいてくれたので助かりました。だから クロスジョブの担当者Tさんがやめられると聞いたときは相談する方がいなくなるので困るな、と思いました。Kさんも、Tさんにメールを打ったり、1ヶ月に1回のTさんとの面談を楽しみにしていたのに、(Tさんが)やめると聞いても、気持ちを上手に切変えていました。
S:切り替えもできるんですね。
I:そういう意味では前向きですね。
寂しいけど、次の担当者は誰なのか・・・と。
S:Tさんと就ポツと関わりをもっておられたんですね。
I:そうですね。はい。 心強かったですよ。
S:支援機関を頼っていただけるというのが、一番の継続につながります。どんどん使っていただけると嬉しいです。
I:助かってます。
最初に面談で一緒に3人来られました。そのなかでクロスジョブさんを通してこられたのはKさんでした。専門の機関を通しておられなかったので、私はクロスジョブさんが付き添って来られたKさんを選びました。若くて、前向きでしたので。
S:支援機関がついていたり、就労移行支援事業所に通っていると、働くまでの準備をしています。仕事ではこういう対策とっていこうとなってから、就職されていることが大きいと思います。
◆採用から雇用に至る経緯◆
S:実習を経てからの就職でしたか。
I:いいえ。面接するまで知らなかったです。クロスジョブの方が一緒に来られたから、少し驚きました。
S:クロスジョブのスタッフが同行していたことで不安になったことはありましたか。
I:そうですね。スタッフが付いてこないといけないほどなのかと思いました。でも、質問したら、スタッフが補助す
るくらいで基本はKさんが答えられていました。ひとりでも会社まで来られるのかなと思っていましたが、大丈夫
でした。そして、注意点として、長い文章を言うとKさんが困るとか、一度に言うことは3つまでにするということを
守りました。でも今は全然普通で、失敗したときに、たくさん言ったらだめだったと気づくくらいです。今は、注意点
も感じさせないくらい、普通に仕事を頼んでいます。
S:クロスジョブでは、サポートブックという形で障害特性をまとめています。それを読むと、少し驚かれるのでは
ないかなという不安があります。実際に体感していただいて、この特性を書いているんだと気付いていただけると思います。
I:あとから気が付くときがあります。
S:実感がないと、書面だけでは理解できないのではないかなと思います。
I:サポートブックを各フロアの人たちに渡しました。
始めてKさんと接する人には改めてサポートブックを読んでいただいてます。
◆会社でのコミュニケーション◆
I:Kさんは人が好きなようです。各支店の支店長や社員の方が訪れることがありますが、メールだけでやりとりしている方々なので、Kさんが挨拶したいようです。そういうところは立派だと思います。メールでも挨拶を入れています。新入社員が本配属されたときに、頑張ってくださいとメールに入れていたので、驚きました。
細かい所に気がつくこともあれば、なんで?と思うくらい前に出来たことが出来ないこともあります。それを本人も悩んでいます。私たちでも前に出来たことを失敗してしまったとか、誰でもありますからね。
決まったことをするのは得意です。
南河内(就ポツ)の人と話をしながら私もきちんとフォローしてあげないと、と思います。
そのままにしておくのではなく、どこかに行く時は必ず向こうから声かけてもらうようにしてます。ちょっと前までは報連相がなくなってきていましたが、タクシーの乗車メモや時間を書いてもらうようにしました。ネットのトラブルがあってからです。
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◆ネットトラブルから対応策を検討し、トラブルを防止する◆
S:トラブルのさいはどうでしたか?
I:トラブル相手に電話をかけて対応しました。夜8時くらいまで対応しました。
S:井上さんが対応してくださっていたことに驚きました。
I:仕事中に起こったトラブルなので、対応しました。切手を買いに行ったり、郵便物を出す仕事をしてもらっていました。
S:その最中にトラブルが起こったのですね。
I:それから、何時にどこに行ったかをメモしてもらうようにしました。
そこは本人にも早く言っておかないといけませんでした。
S:私たちも何か起こってみないと、対応がわからないです。
実際に体感してこういうことが起こると認識しないと対策できません。
◆障害特性への配慮◆
①ご本人と話し合う時間をつくる
I:他の仕事が忙しくて、急がない仕事を彼は早くしないといけないと思って焦ることがあります。
なぜ困っているのかは聞かないと言わないので、そこを見てあげないといけません。でも周りの人が気がついたときは、私に伝えてくれます。
とにかく「その仕事を置いとこうよ。その仕事をしていたらできるものもできない、仕事がまわらない。阪神(の試合)に行けないよ」と結び付けてあげます。
S:プライベートも充実しているんですね。
I:法定雇用人数3人ですが、Kさんに慣れたので同じような人だったら大丈夫です。違うパターンの人がきたら困るかもしれませんが。
S:関わりが違う方になると、また一からの信頼関係づくりになります。
I:人数が増えたら大変かもしれないですがたぶん大丈夫です。
S:これまで井上さんがKさんのことを知ろうと努力してこられたことがわかります。
I:最初はそうですね。ここのところは、あまり深く考えていると自分がしんどくなるので(考えていません)。
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②集中できる環境を整える
S:オフィスの環境だと人間関係が目に入りやすかったり、話が耳に入りやすかったりするみたいです。
I:Kさんも聴力がとても発達していると聞きました。雑音が全部一緒に入ってくるみたいです。でもKさんも集中しているときには、困っている様子もないみたいです。
S:環境も関係しているかもしれないですね。集中できる仕事があるということも関係しているかもしれない。
I:本格的なしんどさを言われたこともないですし、しんどいときはやっぱり気持ちですね。一つの言葉が気になって仕事に打ち込めない。不安になって体を掻いていることもたまにありますけど、それくらいですね。仕事がいっぱいあるので、手につかないということがたまにありますね。でも、それも一時的なものです。
S:担当の井上さんがその状況を見て、何かあったと気がついてくださって、一番サポートすべきポイントをわかってくださっているんだと思います。それを見て、ただ単に集中できていないと思ったり、怒ってしまうということはないんですね。
I:(集中できていないときに)理由は聞きます。聞いてみると、背中が痛くて寝られなかったということです。聞いていくと、あれを見ていた、これをしていたというので、それではいけないと伝えました。それで仕事ができない。みんな、いろんなことあっても、仕事しているよ、どうしても仕事ができないなら、家に帰って休もうって言ったら、そしたらやろうと。仕事に来て迷惑かけるよりも少し休みが必要なときもあると言っても、会社に来ますね。仕事をするのが自分の仕事って言ってました。健康管理も仕事のうちと言ったら、そのことを覚えていて、しんどいときに薬を飲んできて、持ってきた。マスクもしようと言ったら、Kさんが健康管理も仕事のうちなんだと言ってました。
S:井上さんが言ったことを実行してくれているのは嬉しいですね。
I:(Kさんに対して)発言力があるんだったら気をつけないといけないと思います。
仕事のする意味を言わないと。私たちも仕事ができなかったらクビになるように、必要やけれども、交代をしないといけないときがあることを伝えると、Kさんは真剣に聞いておられました。
◆家族の方との関わり◆
家族の方もフォローしてくださっています。いつも身なりをきれいにしてます。
S:身なりで私生活が見えますよね。
I:靴もいつもキレイですね。
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I:ネットトラブルのときに初めてご家族とお話しさせてもらいました。
S:保護者のかたと、ご本人と企業さんとの関係では、保護者とご本人の関係が良好でない場合もあるので慎重にしています。ただ、保護者のかたとご本人がうまくいっている場合は、企業さんとお会いして頂いた方が断然に関わりやすくなると私も感じます。
I:家での生活を知ることでKさんのことがもっとわかると思います。家の写真も見せてもらったことがあったんです。人形をいっぱいもっていて、かわいいと思います。家の話もしてくれていて、お母様とお姉様がとても大きな心で見ておられるんだなと思いました。お母さんが一番理解していると思います。
インタビュー:Kさん
【日々の困難から学んで成長されている】
◆Q:Kさんが就職されてから3年たちましたが、これまでを振り返って、お仕事はどうでしたか?◆
K:調子がいいときもあれば、悪い時もあって、仕事的なことではなくて、メンタル的なことが関わっていたのかなと思いました。
S:メンタルが仕事に影響していたのかなということですね
K:はい。
S:メンタルの調子が悪いときはどのように乗り越えてこられてきたのですか?
K:悪いときは、時間を費やしてしまったことがあった。今年あったかな。
S:お仕事の時間を無駄にしてしまったという意味でいいですか。
K:ただ単に無駄にしてしまったのではなくて、思わぬ事情で他の仕事に手がまわらなくなってしまったことがあります。去年まではなかったですが、今年はあって。
S:思わぬ出来事とはどのような出来事だったんでしょうか?
K:今年4月にテンパることがありまして、他のことに頭が回らなくなってしまって、ジレンマに関わってしまって、
S:井上さんにお話しを伺ってましたが、インターネットトラブルのことでしょうか?
K:インターネットトラブルではないです。それは今年2月です。それとは別の問題です。ジレンマのことは4月の出来事です。
S:4月のジレンマはどういうふうに乗り越えられたんでしょうか?
K:極端にいうと一筋縄ではいかないレベルでした。今日中にできるかと思ったら、そんなチャンスは多くなかったかな。
S:今日中にする仕事ができなかったということですね。今うかがって、仕事に対する姿勢が誠実な方なんだということがわかりました。
K:たまに顔色が変わる時もありますけどね。
S:顔色が変わるというのは、真剣に仕事をしているときですか?
K:逆に状況が無茶苦茶になるとしかめっ面になってしまうんですよね
克服するのが荷が重いです
S:しかめっ面になりながら、仕事を頑張っていらっしゃるということですね。
K:はい。
S:しかめっ面になる状況が無茶苦茶になるときは、お仕事がいっぱいきたときという解釈でいいですか。
K:はい。テンパるところが多いから、そこなんですよ。
S:克服したいなと思っていらっしゃるということですね。
K:克服は正直、完全にかわらないし、この先思わぬことが起こったら、仕事の調子を落とすだけじゃなくて、最悪、他の部分が後回しになることがでてくる可能性もあるんですね
S:仕事の段取りを考えながらお仕事をされているということなんですね。
K:順番にこだわり過ぎてしまってテンパることがあって、後悔したことがありました。順番にこだわるべきではなかったと悔やみます。
S:今のお話しをうかがうと、仕事のミスとか失敗をへて、いろいろ考えながら成長しようという気持ちが伝わってきました。
最後におうかがいしたいのが、これからどういうふうに働いていきたいと思っていらっしゃいますか。就職して3年を迎えて、これから職業人生が長く続くと思いますけど、これからどういうふうに働きたいと思いますか?
K:まだ考えていないですけど、状況判断が大事なので、状況が逆に悪いときも仕事モードになるのもひとつですし、状況が悪いときは無理やり状況を変えてしまうと混乱になりかねないので、悪い場合はいったんあきらめるしかないという手もあります。無理にやってしまうと、どうしようもないことになってしまったら、意味がないですよ。
S:どうしようもない状況になってしまったら、井上さんか他の方に相談されているんですね。
K:あまりスケジュールを見計らう部分もあります。無理に急がせようとしたら、思わぬトラブルが起こったりとかあって。
S:状況判断しながら動いていけたらいいなということですね。
仕事に対する姿勢は私もKさんから学ぶことが多いと感じました。
忙しいなかでお時間を頂き、ありがとうございました。
終わり