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     今回は雇用フォーラムのインタビュー第1弾として、ヤマゼンロジスティクス株式会社執行役員兼ロジス大阪所長の安田様にお話をうかがいました。    同社では、クロスジョブ梅田の利用者の方を以前に雇用いただいていますが、残念ながらその方はご本人の事情により離職されています。  最初はカッターナイフの持ち方すらわからなかった当事者の方に、道具の使い方から、職場でしんどくなったときの気持ちの相談まで、雇用管理のトップでありながら、現場での支援についても丁寧に関わってくださった安田所長。  障害者雇用、そして「働き続ける」ことに対してどのような思いをお持ちなのか?をおうかがいしました。     ▽障害者雇用を始められた経緯を教えてください。 【安田所長】 ・当社が障害者雇用義務の対象となった為。 ・それを踏まえてどんな仕事であれば、障害をお持ちの方にも行っていただけるのかを社内で検討した。 ・物流センターの仕事は危険を伴う。事務仕事ならできると踏んだが、駅から離れた不便な立地では障害をお持ちの方に通勤していただくことが難しいと予想された。 ・そのときにクロスジョブから、障害者雇用の提案を受けて本格的に取り組むことになった。   ▽その後実際に採用いただいた中で、安田所長が感じられた障害者雇用の難しさを教えてください。 【安田所長】 ・これまでに障害者の方と接したことがないので、目に見えない障害は「どう接していいのか」というのが最初は本音だった。  やはり、身体障害の方以外は「どんな障害か?」ということが分かりにくいと言う点。 ・あとは当社のような物流の現場では、物理的に危険に気づけない方やよけることができない方の雇用はどうしても難しくなってくる。  実際に視野狭窄と弱視がある方を体験で受け入れたが、リフトが近づいてくることに気づけないなど危険があった。   ▽逆に障害者雇用をしてよかった点を教えてください。 【安田所長】 ・雇用をしたときに3か月持たないだろうと思った。それが、どんなにしんどくても辞めたいと本人からは言わなかった。障害があっても頑張る気持ちをしっかりと持っている人がいるとわかった点。 ・周りの従業員が障害者の方と働くことに慣れたこと。 最初はどう接していいのかわからず遠巻きにしていた従業員が、仕事を直接頼むようになっていった。。 ・最初仕事を教えるのに若干時間がかかったとしても、しっかりと戦力になるということがわかった。 ・最終的にその障害者の方が辞めることになったときに、まわりの従業員からその障害者の方が「いないと困る」と言う声があがった。特にクロスジョブから雇用した方は真面目で仕事の手を抜かない方だった。   ▽障害者雇用に対する考えを教えてください。 【安田所長】 ・社会の中には障害者がいる。それが自分の家族かもしれないし、そうじゃないかもしれない。  また、自分が障害者になるかもしれない。  障害に関わらず、企業は大きなインフラの器として雇用の受け皿になるべきだと思う。  障害のある方を企業として雇用していくことは当然だと私は考えている。   ▽安田所長が思われる職業準備性とは? 【安田所長】 ・基本のマナーが身についていること。      挨拶がきちんとできてること。      危険な事に気づいて、回避できること ・生活で必要な基本的なことができること。      ハサミが使える、紐が結べる、テープが貼れる、輪ゴムが扱えるなど。 ・エクセルやワードなどスキルの部分は会社によって必要なのかもしれないが、その方のできることにどんな仕事が準備できるのか?を考えることも今後の企業の責任ではないかと思う。 ・事務系と作業系では基礎能力において求められるものが違う。 ・現場は障害者用に設計、運営されていることは稀なため、手首より先で様々な道具を使えるようになっておくと良いのでは。  例えばプラモデルなどを綺麗に作れると非常に良いと思います。       ▽フォーラムでのテーマが『働き続ける』となっております。安田所長が障害者の方を雇用いただくうえで、ご本人が働き続けるために必要だとお考えの部分をお聞かせいただければと思います。 【安田所長】 ・雇用者側にとって必要な点は、「障害と仕事をする意思とは関係ない。」と理解しておくことではないか。 最初は仕事のスピードがあがらない場合や成果物の精度が基準以下の場合であっても、それがご本人のやる気の問題ではなく障害のせいであれば、一般の方と同様に覚えられるまで、本人のスキルに合わせ教えてゆくこと。出来るだけミスをしない方法を考えて、自信喪失リスクを回避することも大切。 ・障害者本人として意識していただきたいのは、周りと比較したり、同僚の顔色をうかがわないこと。  雇用者はあなたが役に立っているから雇っています。自信を持って仕事に取り組んでください。   【今回の取材を通して感じたこと】  今回の取材を通して、一般の方々をこれまで何人も雇用されてこられている人事管理のプロフェッショナルの方であっても、障害者雇用をしてみて初めて気づいた部分がおありだったということは印象的でした。  これから障害者雇用を検討している企業様や、これから就労を目指す障害者の方の役に立てれば、とインタビューを引き受けてくださった安田所長。本当にありがとうございました。