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雇用促進フォーラム 企業インタビュー2017 日本新金属株式会社 様2017年09月20日

   このたび、日本新金属株式会社様にご訪問させて頂き、インタビューのお時間を頂戴しました。日本新金属株式会社様は、レアメタルであるタングステン、モリブデンを中核とした高機能金属の総合粉末メーカーとして、各種金属粉の製造販売や新素材開発に取り組んでおられる会社です。日本新金属株式会社様には、1年ほど前に、クロスジョブから障害者の方1名(Oさん)が就職しており、現在も継続して勤務されています。

   そこで今回は、事務部総務グループの杉浦様に、障害者雇用のきっかけや長く働き続けるために大切なこと、社会人として働くために必要なことなどをお伺いしました。

(インタビュー:井上・関山)

 

 

▽御社が障害者雇用を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

【杉浦氏】

当初は障害者雇用に貢献し企業として社会的責任を果たそうという考えがあり、どんな仕事ができるだろうかと社内で検討した結果、清掃会社に委託していた清掃業務の一部を、障害者の方にもお願いすることができるのではないかと考え、そのポジションで障害者雇用を始めました。

現在、本社の清掃で雇用しているのは2名ですが、その2名の方の勤続は10年ほどに

なります。

 

▽清掃業務での雇用のあと、御社での障害者雇用はどのような経緯をたどったのでしょうか?

    また、Oさんが担当されている業務(工場で使用する専門道具の掃除、熱で変形した金属製の道具をプレス機で元に戻す業務)での雇用はいつから検討されていたのでしょうか?

【杉浦氏】

Oさんを雇用する前に、Oさんと同じような単純作業の作業場所で知的障害の方を雇用しました。私が入社する前から働かれているので、既に7、8年継続して勤務されています。

他にも、秋田工場での清掃などのポジションで障害者雇用を行ってきました。その中で、

現在Oさんが担当されているポジションでも障害者雇用ができないだろうかと考え、製造現場の意見を聞きながら、検討を重ねた結果、Oさんを雇用するに至りました。

現在雇用している障害者の皆さんは、真面目に仕事に向き合って、毎日コツコツと業務に励んでくださっています。

 

▽障害者雇用の支援機関との連携はありますか?

【杉浦氏】

御社以外で言いますと、地域の障害者就業・生活支援センターです。今でも時々様子を見にきてくださっています。障害者による本社の清掃は2人1組で行っていますが、片方の方の気分が不安定なときは、もう一方の方から相談があったり、「支援センターの方を呼んでもらえませんか」と連絡していただいたりするときもあります。もちろん、障害者の方が悩みを抱えていそうであれば、当社のほうから支援センターに相談させていただくこともあります。

 

▽支援機関に期待することは何ですか?

【杉浦氏】

企業の人事担当者は全従業員を見渡していなければならず、常に障害者の様子を見たり話しかけたりすることができるわけではありません。また、講習等を受けてある程度知識をつけることはできても、専門性やコミュニケーションの取り方など不安な部分もあります。一方で障害者本人も、上司や同僚、会社の人事担当者にはなかなか言いにくいこともあるでしょう。やはり支援機関の方にも時々障害者の様子を見にきていただき、悩みを聞いたり、お話をしたりしていただきたいと思います。

また、人事担当者からの相談があれば、そちらにも乗っていただきたいと思います。そういった橋渡しのような役割を担っていただけたらありがたいと思っています。

【クロスジョブ】

何かあったら支援機関に相談できるような関係が、約10年もの雇用が継続している理

由にもなっているのですね。

 

▽就職する前に身につけてもらいたいスキルはありますか?

【杉浦氏】

具体的なスキルは入社してからで大丈夫です。

ただ、障害のあるなしに関わらず、社会人として働くとなると、あらゆることが自分だけの問題ではなくなってきますので、社会人になるにあたっての覚悟はもっておいていただきたいと思います。具体的には、うまくできるかどうかは別として、自分のことだけではなくて、相手を思いやったり、社会のルールやマナーに気を配ろうという意識をもっていただいたり、ということだと思います。

お給料をもらうということは大変なことです。その会社にとって自分が役に立っている

から給料をもらうことができるのです。ですので、勤務時間中は、給料が発生していることを忘れず、苦手なこともあるかもしれませんが、できるかどうかは別にして、その会社にとって役に立つことをしなければならないという意識だけは持っていていただきたいですね。

また、勤務時間外でも会社の一員であるという誇りを持ってもらえたら嬉しいです。

 

▽障害者を雇用するにあたっての不安点やこれまでに困ったことはありますか?

【杉浦氏】

清掃業務の2名はコミュニケーションが苦手なので、意見が食い違ったときに考え込ん

だり、はたから見たら怒っているように見えたりするときもあります。

また、元々委託している清掃会社の方を含め、1つの清掃チームとして清掃会社の方に指揮をしてもらっていましたが、その方と障害者の方でコミュニケーションがうまくいかないことが多くあり、今はそれぞれ独立させて業務にあたってもらっています。ただ、障害者だけだと清掃をどのように進めていいか迷ったり悩んだりすることが多く、障害者同士のコミュニケーションがうまくいかないときも多いので、現在もどのような形態にするべきか模索しています。

また、障害者の方は仕事の進め方について自分の中で予定を立てているのに、「これ捨てといて」と急に言われたりすると混乱してしまいます。健常者の従業員にも理解してもらわないと、このようなことが多く起こり、そういった点も心配の1つです。

 

▽障害者の方と一緒に働くうえでの工夫はありますか?

【杉浦氏】

障害者の方が相談してきたときには親身に応じることが一番大事だと思います。あとは

よく様子を見て、こちらから積極的に声をかけることですね。例えば、夏は非常に暑いので、「暑さは大丈夫ですか? 熱中症にならないようにこまめに水分補給してくださいね」などと声をかけています。

【クロスジョブ】

困ったときに一緒に解決してくれる人がいることや、普段何気なく声をかけてくれる人

がいることは安心に繋がりますね。

【杉浦氏】

清掃業務の2人は外の様々な箇所で清掃をしていますが、何かあったらすぐ電話で連絡

できる体制になっています。また、社内には診療室を設けていて、看護師が常駐しておりますが、毎日その2人が休憩時間に診療室へ行って雑談をしたり悩みを相談したりしていたこともありました。そこで看護師からみて気づきがあれば、連絡をもらって対応することもできます。そういった相談できる体制や問題に気づける体制をつくる工夫をしてきました。

 

▽働き始められた初期からそういったご相談できる体制は整えられていたのでしょうか?

【杉浦氏】

はい。当初からそのような体制で、障害者の方が働きやすいように心がけました。

【クロスジョブ】

就職する前に、“相談する力”を身につけておくことは必要かもしれませんね。

【杉浦氏】

確かに自分から相談できる力があれば、それに越したことはないと思います。それは本

人の性格も関係してくると思います。ため込むタイプの人も気にしないタイプの人も、色々な性格の方がいます。会社側としては相談してきてくれると助かりますね。

 

▽障害者を採用する際のポイントはありますか?

【杉浦氏】

自分にできることを一生懸命がんばろうという気持ちをもっているかどうか、というと

ころだと思います。真面目さ、前向きさがあれば(少々失敗したとしても)周囲も認めてくれるはずです。勤務時間中は、会社に貢献しよう、という気持ちをもってくれる方が会社にとってよい人材だと思います。

【クロスジョブ】

実習場面や面接でその点を見ていらっしゃるんですね。

 

▽働き続けるために大切なことは何でしょう?

【杉浦氏】

健常者も障害者も得意不得意がありますが、それぞれできる範囲を見極めて、役割が与えられるものと思います。与えられた役割を真面目にこなし続けるということが大切だと思います。できる範囲を広げることが難しいこともあるかもしれませんが、まずはできることをコツコツと継続することが重要です。

それと、できれば、どんなことでもよいので何かやりがいを見つけて、気持ちよく仕事をしてもらいたいですね。

 

▽Oさんを雇用されての感想はありますか?

【杉浦氏】

職場の方の意見としては、健常者の方とあまり変わらず接することができているという

人が多いですね。そういったところからも、コミュニケーションはしっかり取れているかなと思います。コミュニケーションは会社で働くうえで必須になってきますので、これからも大事にしてほしいです。

 

▽今後、Oさんに期待することはありますか?

【杉浦氏】

今は真夏で工場内も暑くて大変な時期ですが、一生懸命やってくださっています。昨年から、暑い時期を乗り越えて今はフルタイム勤務で頑張ってくれているので、それを継続してもらえたらと思います。

あとは、周囲とのコミュニケーションをとって人間関係を良好に保っていくですね。もし、気が乗れば、職場での懇親会などにも参加してもらえたらいいなと思います。

 

▽これから障害者雇用を始める企業様に向けてメッセージはありますか?

【杉浦氏】

障害種別、業種や環境にもよりますが、意外なところに障害者の方でもできる業務がありますから、最初から雇用できないとあきらめることはないと思います。また、ゼロから雇用する場合は、支援機関との連携も大事になってきますね。

【クロスジョブ】

就職後もずっと継続して働き続けるための支援が必要ですね。

【杉浦氏】

支援機関のフォローがあることで、就職後もいつでもノウハウが聞けることは企業としても安心な点です。

 

▽障害者雇用率は達成されていますか?

【杉浦氏】

はい。雇用率は3%近いです。

 

▽今後も機会があれば障害者の採用を検討されていますか?

【杉浦氏】

機会があれば雇用したいと思っています。工場は安全が第一なので、その点を踏まえて就業していただくポジションはしっかり考える必要があります。これはまだまだ実現するのは難しい話かもしれませんが、事務所をバリアフリー化できたら、身体に障害のある方についても検討できると思っています。

 

~インタビューを終えて~

今回、お話を聞かせていただき、困った時に相談できる人がいることや、普段何気なく声をかけていただける人がいること等がご本人の安心感に繋がり、長く働き続けることができる場所になっている事を学ばせていただきました。また、そのような安心して働くことができる環境作りを、杉浦様をはじめ、日本新金属株式会社の皆様が自然に実践されていると感じました。

また、支援機関とも密に連携をとられており、ご本人と会社、両者への橋渡しの役目を担うことが、支援機関の大きな役割だということにも改めて気づかせていただきました。

インタビュー後にOさんのご様子も拝見しましたが、コツコツと真剣に業務に取り組まれていらっしゃいました。今後も、日本新金属株式会社様の一員としての誇りを持って長く働き続けることができるよう、クロスジョブも支援させていただきたいと思います。

最後になりましたが、杉浦様、お忙しい中、貴重なお時間を割いて頂き、本当に有難うございました。


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