スタッフの一日

「大人の自閉スペクトラム症」を読んで2018年06月08日

こちらに入職するにあたって、最初に”?”と思ったものの一つがASDという単語でした。

自閉症や広範性発達障害、アスペルガー症候群という言葉は知ってはいたのですが、ASDという言葉は寡聞にして知らなかったのです。

 

その”?”を解決してくれたのが、この本でした。

 

長年発達障害と向き合ってきた精神科医である著者によると、かつて、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、と細かく分類されていたものが近年再整理され、境界線のない連続帯(例:虹)を表す「スペクトラム」という言葉を用いて、「自閉スペクトラム症(ASD)」という一続きの概念に改められたとのことです。何々障害、という明確な線引きを行わず、「特性のない人~特性はあるが不適応等の問題のない人~特性があって不適応の問題を抱えて困っている人」までを連続して捉えるというこの考え方は、環境によってその困り具合に変化が起こりうるということも示唆しています。急激な環境の変化が、特性をお持ちの方にとってこちらが考える以上のストレスになりうるということを、今後支援をしていく上で常に意識しておかねばならないと思いました。

 

さて、上記のようなスペクトラム概念で捉えると、ASDの特性は誰もが持ちうるものとなるので、特性を持っていることが即病気、ではないことになるそうです。ただ、特性が強く出る方は小数派であり、多数派のためにデザインされたこの社会では時に生き辛さを感じる事があるため、その方々をサポートしながら支えあい、共にあろうと取り組むことが重要になってきます。

では、そのサポートにはどのようなものがあるのか?ですが、著者によると「自助、共助、公助」の三つがあり、その内で、大人のASDの方にとって最も重要なのは「自助」=適切な自己理解なのだそうです。

言い換えるなら、生活面など出来る範囲は自分で管理し、「得意」をしっかりと発揮するために自分のそのままを受け入れ、分からない事は必要に応じて相談し、周囲からのサポート(共助:周りからの、公助:公からの)を受けやすくする姿勢、ということでしょうか。

この、三つのサポートの中で著者が一番難しいと感じているものが「共助」です。「共助」を行う周囲の人は、ASDの方にとって自分がどのような役割であるのかを考え、「なぜ」「どこまで」サポートを行う必要があるのかを見極めた上で、持続可能な範囲(自己犠牲や役割を果たせない罪悪感なしに続けていける範囲)でサポートしていく。それが「共助」のあるべき姿だと言っています。

 

この、役割によってサポートの範囲を変えて行くという考え方を利用者さんの就職先など周囲の方々に知っておいて頂けたら、と思いました。

私たち支援員からだけでなく、職場の方々にも無理のない持続可能な範囲でサポートしていただければ、それだけそこで安定して働き続けることができるでしょう。環境の変化でストレスを感じる事が多い方々が、何度も新しい職場にチャレンジせずに済むというのは、仕事を続けていく上で大事なことだと思います。

 

他にも様々な「スペクトラム」の事例が掲載されていて、それぞれに学びとなるものがある本ですので、機会があれば是非ご一読ください。

 

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

 


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