企業訪問記『がんこフードサービス株式会社セントラルキッチン』様

2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問 第1弾

今回は阿倍野事業所からの就職者・Yさんが勤務をされている【がんこフードサービス株式会社 セントラルキッチン】様をご訪問しました。Yさんの仕事内容は、野菜の袋詰めや豆腐の出荷前作業などで、お客様に食べて頂く商品作りに携われています。現在は週5日、1日2時間の勤務に取り組まれていますが、就職してからの3年半の間で欠勤をしたことは一度しかないそうです。今回のインタビューでは企業の方やYさんから仕事の内容や様子をお伺いすることで、「なぜ働き続けることが出来るのか」を見つけていきたいと思います。

1.現在のYさんのご様子について

砂川:本日はどうぞ宜しくお願いします。それではさっそくではございますが、現在のYさんのお仕事の様子や一緒に働いての感想等を教えて頂けますでしょうか。

米澤:現在は充填豆腐の機械で作った豆腐のふき取りや箱詰め作業を担当して頂いています。商品の品質確認や賞味期限のラベル貼りなどもYさんにお願いしています。周りのメンバーもYさんをフォローしつつ、悪い品質の見本を提示しながら作業をして頂いていますね。

竹中:Yさんは豆腐を作る最終工程を担ってくれています。この段階でしっかりと不良確認が出来なければ、そのままお客様のもとに商品が届き、クレームに繋がってしまいます。入社してからは現在の豆腐以外の作業も担当してくれていましたが、きっちり作業をしてくれるため、この豆腐の作業がYさんにとって向いている作業だと思い、今の担当をお願いすることになりました。豆腐作りの中でとても重要なポジションで、商品作りの大事な砦を守ってくれています。

砂川:入社当時は野菜の袋詰めの作業を担当されていましたね。今は豆腐の重要なパートを担当されているのですね。

竹中:そうですね。野菜の袋詰めをある程度経験をしてもらう中で、他のポジションも挑戦してもらう流れになりました。ずっと同じポジションを担当するとマンネリも生じてくるので、Yさんに限らず、どの従業員も定期的に配置換えを行っています。入社当初の野菜詰めの作業から別の作業に変わったことは、ランクアップの意味がありました。

砂川:Yさんも含めて、他の従業員の方も定期的な配置換えがあるのですね。

竹中:もちろんです。1人が同じ作業しか担当できないと欠員が出た場合やアクシデントに対応出来ません。そのため、色んな従業員が作業を担当できるように配置換えを行い、業務を経験してくれています。Yさんも例外ではなく、他の従業員と同じようにお願いをしています。

2.第一印象は…

砂川:最初に貴社を訪問した際は、Yさんと私、砂川の二人でお伺いをしました。竹中さんはYさんに会った当時のことで印象に残っていることは何かありますか。

竹中:正直なところ、私自身の考えとしては、障害はその人の個性や性格の一部だと思っています。Yさんに初めて会った時は、「シャイな方だな」という印象と「団体行動の中でどこまでやっていけるかな」という気持ちがありましたね。当時は、恥ずかしがり屋さんだと思っていましたが、今は違う印象を持っていますよ。

砂川:今はどの様な印象でしょうか。

竹中:Yさんは好奇心旺盛な人ですね。仕事だけでなく色んなことに興味があるのだなと感じています。最初の印象とは真逆で、自分からも積極的にコミュニケーションを取り、疑問があれば質問をしてくれることも多いですね。パッと見た感じは大人しそうですが、自分からどんどん来てくれるタイプの人ですよ。とても良いことだと思います。

砂川:自分から積極的に相手のところへ行くことはとても大事ですね。普段はどんなことを話されているのでしょうか。

竹中:例えば、私が昼食を食べている時に近くに来て、「ある作家を知っていますか」と尋ねて来られた時がありました。その時は、「なんでその話や」とも思いましたが(笑)、仕事以外のことも話す機会は多いです。興味や疑問に思ったことは何でも話してくれるので、良い勉強になりますね。

砂川:Yさんはその時なぜ作家の話をされたのでしょうか。

Y:プライベートでアニメの作家に会う機会があり、その時に作家の方が「原稿を書くのが1番大変」と言っていました。

竹中:その出来事を受けて、「部長も仕事でしんどいことはありますか」と聞いてくれましたね(笑)。「私もしんどい時はあるよ」と話したりしていました。休憩中もコミュニケーションを取るので面白いです。

砂川:米澤さんはYさんと普段話されることはありますか。

米澤:仕事中は商品の不良を一緒に確認したり、商品を箱に入れる方法などについてやり取りをしています。一生懸命働いてくれていますね。

3.一緒に働いてみての感想…

砂川:先ほど、竹中さんからは障害というより一つの個性だというお話を頂きましたが、Yさんと一緒に働く中で何か印象に残っていることや良かったと思うことはありますか。

竹中:仕事は率なくこなしてくれていますよ。一度に色んなお願いすると混乱してしまいますが、1つのことは本当にきっちりやってくれます。大抵の場合、私の休憩時間がYさんの出勤時間にあたるので、そこで遊んでくれたりしますね(笑)。私自身は作業現場での接点は少ないです。現場内では米澤の方がYさんとの接点が多いと思います。

砂川:米澤さんはYさんとのエピソードは何かありますか。

米澤:私自身の変化として、障害者だから、Yさんだからと限定せず、広く現場を見られるようになったと感じています。現場全体のことを見つつ、Yさんのことも気にかけながら仕事をするようになったので、視野を広げてくれるきっかけになったと思いますね。

砂川:米澤さんは現場を全体的に見て、管理するお立場にあると思いますが、その中で大切にされていることなどはありますか。

米澤:第一は良い商品をお客様に提供することですが、現場の従業員達とコミュニケーションを取って、作業の行き詰まりはないか、スムーズに仕事が出来ているか確認することを大切にしています。会社の中で決められた作業のルールはありますが、個人個人によって取り組み方が違う時もあるため、やりやすい方法を一緒に考えることもあります。

4.コミュニケーション

砂川: 先ほどは、Yさんと一緒に働く中での良かったことをお伺いしました。今日はせっかくお時間を頂戴していますので、率直に困ったと思われたこと、疑問に思ったこともお伺いをしたいです。

竹中:Yさんは集中力を欠くことがあり、例えば、退勤前になると時間を気にする時期があったので、「最後まで集中して作業をしよう」と声を掛けることはありました。

Y:はい。一時期、仕事の終わりの時間が気になる時がありました。

砂川:Yさんはなぜ退勤時間が気になる時期があったのですか。

Y:プライベートのことですが、ネットショッピングで購入した商品がいつ届くか気になっていたからです。

竹中:Yさんは一時、買い物にはまっていた時期がありましたね。「自分の小遣いの範囲で買うようにしようか」と話したこともありました。仕事ではグループとして作業を行っているので、みんなで最後までやり切ることを伝えました。この点は彼女に対してだけでなく、他の従業員も伝えていることです。

5.配慮をしたこと

砂川:クロスジョブでは就職後のフォローアップとして、企業とご本人の関係作りのお手伝いのために職場訪問などを実施しています。しかしYさんの場合は、竹中さんから「採用後は企業に一任してほしい」とのご意見を頂いていたので、支援者の介入は行っていませんでしたが、Yさんと一緒に働く中で何か特別配慮をされたことはありますか。

竹中:Yさんに対して特別何かを配慮したことはありませんね。個人の体力を考え、重い荷物は持たないなどの調整はしましたが、それは他の女性従業員に対しても同様の対応を取っています。同じ職場で働く者同士として、良いことは良い、悪いことは悪いときっちり伝えています。それは私だけでなく他の従業員も同じで、皆仕事に対してきちんとした姿勢を持ってくれていますね。

萩原:お話をお聞きすると会社全体で共通認識を持たれているように感じました。その共有認識はどの様に育まれているのでしょうか。

竹中:何事においても「嘘はつかないで欲しい」と全体に伝えています。また、業務について何か物事を伝える時や決め事をする時は個人ごとに言わない様にし、全員が集まった状態で話をしていますね。個別に話をすると同じ内容であっても一人ひとりが違った印象で理解することがあるので、統一した伝達が出来る様に気をつけています。仕事中はどの従業員も本当にストイックですし、同じ方向を向いて仕事をしてくれます。その為、Yさんにも厳しいことを求めることはありますね。

砂川:全従業員が集まって話をするのは、どれぐらいの頻度で行われているのでしょうか。

竹中:物事を決める時は随時集合をします。Yさんも「集合!」と呼びかければ集まってくれますね。例えば、工場の視察の予定が入っていた時は、全員で大掃除の役割分担やスケジュールを決めることがありました。ちなみに弊社はパートタイムで働く方たちのことを「パートナー」と呼んでいます。仲間と言う意味ですね。会社の中の役職や対場は違っても一個人を大事にしてお付き合いをさせて頂いています。

砂川:素敵な呼び名ですね。同じ方向を向いて仕事をしていく中で、思いやりもあれば厳しさもあるということですね。

竹中:弊社は女性が多く勤務していることもあるので、皆平等に接していくことが永く仕事を続ける秘訣かなと感じています。

6.今後に期待したいこと

砂川:Yさんが働き始めて3年半ほどになります。Yさんには後で改めてお聞きしたいと思いますが、企業の皆様から見て、今後のYさんの働きに期待すること、一緒に頑張っていきたいことなど展望があれば教えて頂けますでしょうか。

竹中:その点は逆にYさんに聞いてみたいですね。彼女の中のゴールイメージは何なのか、現状の勤務時間は1日2時間なのでこれを続けていきたいと思っているのかどうか。彼女の中に今後のイメージがあるのであれば、これからの勤務時間や働き方を一緒に考えていくことは可能です。

砂川:Yさんはどうですか。今後のイメージ等はありますか。

Y:そうですね…。最近パソコンを買いました。パソコンの勉強をするために教室に通いたいと思いましたが、スクール代がとても高いので、勤務時間を4時間に延ばして貯金が出来たら良いなと思っています。

竹中:勤務時間は少しずつ延ばしたら良いと思います。いきなり1日4時間の勤務になると今の倍の時間になってしまうので、30分刻みで延長をして、Yさん自身がどこまで集中して仕事が出来るか試してみればいいですよ。Yさんのシフトが増えると他の人のシフトが減ることも考えられるので、本当に勤務延長を検討しているのであれば、真剣になって取り組んでほしいですね。

7.障害雇用について思うこと

砂川:昨今、法定雇用率の改定などで障害者雇用の勢いは加速している現状です。貴社の皆様が障害者雇用について思うことや支援機関に求めることなどがあれば、教えて頂けますか。

竹中:Yさんの就職については、クロスジョブから電話を頂いたので採用の流れに繋がりましたが、電話を受ける前までは障害のある方が仕事を求めている状況があると分からなかったです。しかし、障害のある方でも自分に見合う場所は必ずあると思うので、もっともっと外に出ていって欲しいと思いますね。弊社としては、今まで障害のある方との接点がなかっただけで、希望を持ってくれるのであれば面接はさせて頂きたいです。

砂川:Yさん以外に障害のある従業員の方はいらっしゃいますか。

竹中:セントラルキッチンにあと1名障害のある従業員がいます。Yさんとも一緒に働いてくれていますよ。彼もYさんと同様、面接をして入社をしてくれた方です。「仕事をしてみたい」と思われるのであれば面接は誰でも受けます。その中でお互いに合う、合わないがあると思いますし、弊社には30か所ほど作業ポジションがあるので、まずは経験してみて、その人の適性を探していますね。

8Yさんへのインタビュー ~就職してからの3年半を振り返って

砂川:それではYさんにもお話を伺いたいと思います。Yさんはこの会社で働いて良かったと思うことはありますか。

Y:仕事に対して真面目になることが出来たことです。買い物にハマっていた時期は仕事中も「荷物がいつ届くかな」とか色んなことが気になっていましたが、思い切って携帯電話を解約したことで仕事に集中することが出来ました。

砂川:気になることをシャットダウンして仕事に集中が出来たのですね。楽しいと思う仕事はありますか。

Y:野菜を詰める仕事は楽しかったです。

砂川:私も野菜の作業をしていた時のことを覚えていますよ。頑張って働いていましたよね。この3年半で、難しいと思うことはなかったですか。

Y:おせち料理のえびのひげを切ることが難しかったです。生き物を触っているような、えびに睨まれているような感じがして嫌だったことを覚えています。それでも商品はお客さんのものなので、大事に扱うように気を付けました。

竹中:睨まれている?面白いね(笑)。嫌だったら今年はえびの担当から外そうか?(笑)

砂川:Yさんは大学を卒業後、作業所やクロスジョブの訓練を経て、就職をされました。Yさんにとって初めての就職ががんこフードサービス株式会社となった訳ですが、仕事をしていく中で大切にしていることはありますか。

Y:集中して仕事をすることです。私は家でインコを飼っているのですが、「私が働かないとこの子の餌を飼うことが出来ない」と思いながら仕事をしています。極論を言えば、インコのために働いています。

砂川:何かのために頑張って働こうと思うことはとても大切ですね。Yさんには働く目標がたくさんありますね。

竹中:次のステップとして、職場の中でやりたいことや楽しいことを見つけてくれたら、もっと仕事が楽しくなるのではと思います。

砂川:今後に期待ですね。

9.なぜ働き続けることが出来るのか

竹中:Yさんが弊社で働き続けることを不思議に思うことはあります。どうして続けてくれているのかなと。何か理由はありますか?インコ以外で(笑)

Y:ミシンを買いたいです。

砂川:また欲しいものが増えましたね(笑)。Yさんの働く原動力は「これがしたい!」「やりたい!」と言う欲求なのかもしれませんね。

竹中:そうですね。自分で稼ごうとする姿勢は良いのではないでしょうか。

10.クロスジョブの後輩の方へのエール

砂川:Yさんが訓練をしていた頃、クロスジョブの事業所は堺と阿倍野の2つでしたが、ここ数年でどんどん事業所が増え、Yさんの後輩が多くなっています。Yさんから現在、訓練を頑張っている後輩の方に向け、何かエールはありますか。

Y:そうですね…。働いていたら良いことがありますよ。

 

▽インタビューを終えて…

約1時間にわたりお話を伺いましたが、常に笑いが絶えず、楽しい時間となりました。インタビュアーの感想は以下の通りです。

≪阿倍野事業所・萩原≫Yさんが新しい仕事を覚える際はいつもメモをとり、家に帰って復習し、繰り返し見直す習慣がついていて、竹中様もその努力をご存じで遠くから見守っている、というお話を聞かせて頂きました。責任感を持って仕事に取り組むYさんと、その姿勢をしっかりと評価して下さっている竹中様との信頼関係があるからこそ、長く働き続けることができているのだと感じました。また、障害者雇用を高いハードルで考えず、一つの個性を受け入れる当たり前のこととして考えていらっしゃる姿勢にも大変感銘を受けました。貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。

≪梅田事業所・砂川≫「がんこフードサービス株式会社」では、お客様に良い商品を届けるため、どの従業員の方も真摯に仕事に取り組み、時にはお互い厳しく求め合っていることをお聞きしました。仕事に対する厳しさは持ちながらも個人同士の繋がりを重視されていること、皆が同じ方向を向いて仕事が出来るよう決め事は全員が揃った場で行うなど、職場の中で大切にされていることにブレがないことがYさんを含めた、多くの従業員の皆様の働き続けることに結びついているのではないかと考察しました。また、インタビューの中で竹中様から「特に配慮はしていない」とのお言葉を頂戴しましたが、仕事以外の場でもコミュニケーションを取られる雰囲気そのものが、Yさんが安心して働く一因となっているのでないかと感じた次第です。

ご多忙の中インタビューを受けて頂きました、Yさん、竹中さん、米澤さん。この度は本当にありがとうございました。今後とも何卒宜しくお願い致します。

 

≪インタビューにご参加頂いた皆様≫

【がんこフードサービス株式会社】

クロスジョブ阿倍野OG   Yさん

商品本部製造部  部長    竹中さん

豆腐工房   上席主任 米澤さん

≪インタビュアー≫

クロスジョブ梅田  砂川

クロスジョブ阿倍野 萩原

 

企業訪問記『がんこフードサービス株式会社セントラルキッチン』様