2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問記第3弾

企業訪問記第3弾『バンドーI・C・S株式会社』様

9月の「2018年度クロスジョブ雇用促進フォーラム」連動企画として、今年の3年勤続表彰のOB・OGの皆様の職場をご訪問させて頂いています。今回はバンドーI・C・S株式会社管理本部財務部で勤務されている森下様、そして採用時から連携をさせて頂いている管理本部人事・総務部部長の雀部様にインタビューを行いました。
森下さんはスキャニング業務をはじめ、ファイル整理などのお仕事をされています。
働き続けるために必要なこととは何なのか、3年間の勤続を経て、働く前の自分、今の自分との変化、森下さんと働き始めてからの企業様の変化などをお伺いしました。

▽森下さんへのインタビュー

 

【クロスジョブ訓練時のことについて】

 

辻 :就職して3年が経ちましたが、クロスジョブの訓練が仕事の役に立ったことはありますか?
森下:訓練での軽作業、パソコン、総合学習、僕は全て役に立ったと思います。苦手な事も全て役に立ちました。器用な方ではないですが、どの訓練も嫌がらずにやろうと思っていました。施設外就労の居酒屋の店舗清掃ではお給料はでないですが、お金は関係なくやるべきことはやろうと思っていました。
訓練で特に役に立ったのは書類整理の業務です。また、突発的なスタッフからの依頼業務もたまにやっていました。それらの訓練をしていたので仕事でもすぐに対応ができました。幅広く色々な訓練をやっていたので多少は役に立っています。
辻 :訓練を幅広くされていたと思いますが、それによって仕事でのイレギュラーなことも対応がしやすくなりましたか?
森下:それはありますね。

 

辻 :得意な訓練や苦手な訓練はありましたか?
森下:得意な訓練はそれほどなかったです。病気の後遺症で右手の動きが少しぎこちなく、握力も弱いのでパソコンで入力する時に動きがぎこちなくて苦手でした。軽作業も他の人と比べて少しペースが遅いと思っていました。

関山:とても前向きに訓練に取り組まれていますが大変だったことはあると思います。
モチベーションはどのように維持されていたのですか?

森下:その日によって良い悪いは多々ありました。ミスしてカッとなるタイプだけど、そうならないように落ち着いてやっていました。訓練がしんどいと思うことはなかったです。
関山:そこまで深くモチベーションが落ちることはなかったのですか?
森下:そうですね。そこでやるべきことを投げてしまったらおしまいなので、やることはとことんやろうと思っていました。
関山:やらないといけないという強い気持ちがあるからこそ、3年間継続して働くことができているのだなと思います。そこは森下さんの働き続けるお力なのだと思いました。


【働き始めてからのことについて】

 

辻 :就職して良かったと思うことはありますか?
森下:初めての給料は嬉しかったです。
辻 :高次脳機能障害になってから離職をして、その後お給料をもらって働くまでしばらく期間が空いていますよね。さらに嬉しかったのではないでしょうか?
森下:初給料は日割りでしたが、次のお給料は1カ月分もらって嬉しかったです。

 

辻 :どのような時に仕事のやりがいを感じますか?
森下:始めはスキャン業務から任されて、今は複数の業務を任されています。通常の業務とは違う突発的に依頼された作業をして御礼を頂いた時には一番良かったと思います。
辻 :突発的な業務はよく起こりますか?
森下:書類が増えてきた時にはトランクルームの整理業務などに参加します。

辻 :働いている中で困ったこと、しんどかったことはなかったですか?
森下:少し不安に感じたのは、病気の後遺症で少し失語症があり、言葉の聞き違いがあることです。自分の言ったことがしっかりと正しく相手に伝わっているか?とは一瞬思う時もあります。やっぱりバタバタしていたらきちんとした答えになっていません。でも落ち着いて考えて聞いて答えたら大丈夫かなとは思います。徐々に回復はできました。
辻 :自分で上手く乗り越えることができていますね。
森下:仕事の中でのしんどかったことはあまりないです。間違いとかがあった時は、自分でそのミスを受け止めて乗り越えています。
敢えて言えば、プライベートな事では、父が亡くなった時はしんどかったです。働きながら土・日曜日のどちらかは父のお見舞いで病院に行っていたので、亡くなってから土・日曜日にすることが無くなった時はしんどくなりました。ただ、ずっと何もしないのは絶対にしんどいだけなので、自分で日帰り旅行をセッティングしたり、読書の習慣を確立したりしました。
辻 :よくメールで読書報告してくださっていましたね。自分で考えて乗り越えられたのですね。

辻 :バンドーI・C・S様で働いて良かったと思う所はありますか?
森下:仕事もプライベートもクロスジョブの通所時より充実しています。年2回の賞与も嬉しいし楽しみです。

辻 :とても充実されているようですね。働く前の自分、働き出してから自分での変化はありますか?
森下:遂行機能障害で物事のスケジュールの組み立てが苦手でした。しかし、父親のお葬式で喪主をした時に、一通りの受け応えができたことで親戚がびっくりしていました。そこが自分でも変わったと思うところです。
辻 :その変わったところが仕事でもリンクしていることはありますか?
森下:仕事でリンクしているかは自分では見えていません。日常生活では変わったと思います。
辻 :仕事の優先順位を立ててスケジューリングが出来るようにはなりましたか?
森下:なりましたね。請求書折りの業務で日にちを見て、締日が近いから請求書が多いだろうなとかを予測して行動ができています。また、今日はインタビューがあるから請求書の件数が多かったら前もって仕事をしておこうかなとか考えて行動することができています。
辻 :見通しがつきやすくなったのですね。

辻 :今後、会社の中で頑張りたいことはありますか?
森下:待遇では100%を超えるぐらい満足しています。だからこそ、その待遇に見合った活躍は絶対しないといけないという責任感があります。仕事の幅を広げることと、知識の幅を広げるために読書もずっと続けて行きたいです。
大倉:働き出して3年ほど経つとモチベーションの維持が難しい人もいます。森下さんがモチベーション維持のために取り組んでいることはありますか?
森下:父が亡くなったり会社名がかわったり3年で色々変わったので、今のところモチベーションが下がることはありません。
大倉:色々変化がある中で対応されてきたのですね。

 

【現在、クロスジョブで訓練されている方へ】

 

辻 :今も沢山の方がクロスジョブを利用されています。就職を目指して頑張っておられる方々へメッセージをお願いします。
森下:一般の就職活動と違って、障害者の就職活動は模範解答がないものだと思います。長く働き続けることをコンセプトとするなら、まず大事なのは求人を見て仕事内容を取捨選択、吟味するのが重要です。自分のキャパシティ超えるものはちょっと苦しいかなと思います。私は就職活動に対してしんどいと感じませんでしたが、焦りがある人もいると思います。ただ、結果ばかりを求めるのではなく、気長に考えて皆さんが良縁に出会えたらいいなと節に願います。
大倉:自分のキャパシティに合う仕事というところですね。そこがしっかり見極められるかが大事ですね。
森下:例えば、私なら求人の中で業務内容が1~7番まであったら全部は無理かなと思います。一気に覚えるのも病気を発症した影響で難しいし、落ち着いて順序を組み立てないといけないので、そういう仕事はマッチしないかなと思って選びませんでした。

 

▽雀部様へインタビュー

【森下さんについて】

 

辻 :3年前、御社の面接で森下さんを採用した決め手は何ですか?
雀部:当時5人ぐらい応募がありクロスジョブからは森下さんのみでした。その時に、他の誰よりも受け応えが一番しっかりしていました。後は、支援機関のご本人に対するフォロー体制を一番手厚くしてくださったからです。

 

辻 :その後、森下さんを採用して良かったと思う点はありますか?
雀部:森下さんは挨拶をしっかりしてくれて助かっています。社長も挨拶が大事と言っているので会社としても良い影響を与えてくれています。また、クロスジョブは採用後も1カ月にわたって辻さんがマンツーマンで来てくれて、入社後不安な点も相談でき、森下さんも辻さんに全面的に頼っていたので力になりました。

辻 :森下さんに対して企業として配慮されていることはありますか?
雀部:指導者の森本さんは色々森下さんに配慮をしてくれていたと思います。元々、丁寧な説明で分かりやすく優しく接する方ですが、森本さんを森下さんの指導者にしたのが、一つの配慮だったかもしれません。
大倉:それはこの方なら丁寧に指導されるだろうということで配属されたのですか?
雀部:いえ、指導者としては初めて配属されています。男性は同じ部署に一人しかいなかったので必然的にそうなり、それが結果的に良かったのだと思います。
辻 :当時からとても丁寧に指導してくださっていましたね。

辻 :採用当時と現在での森下さんを比べて印象の変化はありますか?
雀部:もっと大人しく内向的な方だと思ったのですが、そうでもなかったです。非常にポジティブで良い意味でギャップを感じています。いつも仕事に前向きに取り組んでくださっています。
辻 :クロスジョブのOBOG会でも自分が会社に貢献していきたいと言われています。

辻 :森下さんに今後、頑張ってもらいたいことはありますか?
雀部:業務の幅を広げて、会計入力、ファイルの管理、債券管理など他の財務部員がやっていることも少しずつやって欲しいと思っています。人事総務部以外での障害者雇用は森下さんが初めてなので、他の部署での障害者雇用が出来る体制を広げたいと思っています。そのため、森下さんには他部署での障害者雇用の方達の良きアドバイスをできる人にもなってもらいたいです。他の部署はできていないスキャニング業務のフォローもしていただきたいです。
辻 :まだまだ活躍できるステージがありそうですね。
森下:さらに責任をもってやっていかないといけないですね。
辻 :先輩社員として後輩に伝えていくのも森下さんならうまくできそうですね。
森下:役に立てることを頑張りたいです。


【働き続けるために大切なことについて】

 

辻 :雇用促進フォーラムでは「働き続けるために大切な事」をテーマにしているのですが御社での働き続けるために大切な事とは何ですか?
雀部:弊社は、統合を繰り返しおり、結果として色々な人が居ますがそれが良い方に働いています。
大倉:色々な人がいるとは多様性を認め合う環境のような感じですか?
雀部:多様性を認め合えるような環境にもっていきたいとは思っています。部署単位ではまとまりができているので、それが長く働き続けられるポイントなのかと思います。そして今後、より会社全体としてまとまっていけるようにと思っています。

 

大倉:本人のスキルアップなどの人材育成ではどのようなことに取り組まれていますか?
雀部:雇用形態だけでいうと健常者も障害者も全く分けていないので、一社員として見ています。でも、多少の障害特性による業務の苦手さはあると聞いているので、それに見合ったスピードや方法で仕事ができるようにはしています。ただ、今の業務内容だけではなく、今後は業務の幅を広げて働いて頂くことも考えています。
大倉:自分の頑張る所が目に見えて分かるのはモチベーションにも繋がりそうですね。
森下:具体的に次の頑張る事が分かるのは嬉しいですね。

辻 :障害のある方を雇用管理する上での良かった点や困った点はありますか
雀部:良かった点では森本さんの件に繋がりますが、指導者が育ったことです。初めて指導者という立場で森下さんを指導することで、彼自身も人材を育てる力を身に付けてスキルアップができたのではないかと思います。今でも変わらず丁寧に仕事を教えてくれています。また、スキャン業務など今まで誰もできなかった業務をできる人が増えたのは良かったですね。
困った点では、以前、障害者手帳を持っていることを周りに言って特別扱いして貰おうとする人が居て困りました。
大倉:困った時はどうご本人と向き合ったのですか?
雀部:個別面談をしてなぜそうしたのか理由を聞きました。それで本人が求めることで、こちら側ができることは対応をしていきますが、本人が間違っていることは間違っていると言いました。
大倉:そのような個別面談はよくあるのですか?
雀部:部署長とは半年1回はみんな個別面談をしています。

関山:障害者雇用をする上で支援機関に求めることはありますか?
雀部:クロスジョブのフォロー体制ではこれ以上求めることはありません。敢えて言うなら、うちの会社は障害者雇用率のために雇用するというよりも、空いているポジションに対して募集をかけてそれに見合う方が居れば雇う形です。だから、人材紹介の動きをメインにして頂けると助かります。先に企業から業務や環境の情報を吸いだして頂き、それに見合った人をご紹介いただいてマッチングをしていきたいです。
大倉:そこは私たちも長期的な就業が可能なようにジョブマッチングをしっかりとご本人、企業様と一緒に見極め、ご連携していく力が必要だと常々思っています。
辻 :今年度さらに障害者雇用は加速していくと思いますが、私たちがしているのは単純な人材紹介ではありません。タイムリーに企業様の人材が欲しい時に、私たちもご紹介ができることで、よりwin-winの関係を築けるのではと考えています。

辻 :障害者雇用について他の企業に聞きたいことはありますか?
雀部:ご本人の能力開発に向けて、どのような取り組みをしているのかが気になります。
辻 :今まで業務切り出しの話はしていましたが、ご本人自身の能力開発の話はなかなか挙がってこないですね。今後、私達も企業に向けてポイントとして着目しようと思います。


今回のインタビューを通して、障害の有無に捕らわれることなく、その人がどういうことが出来て戦力になるのかということが重要だと改めて気づかされました。
また、森下さんのやるべきことはとことんやるという仕事に対する責任感、そして向上心は、働く続けるための大きな力になっているのだなと感じました。また企業様も森下さんを大事な戦力として見てくださっており、それがご本人にとっては求められていることが目に見えて、より働くモチベーションにも繋がっているのではないでしょうか。
今後の支援機関へ求められるニーズは、既存のサービスだけではなくて、新たな視点から、より企業様に向けたサービスの幅を広げていくことが求められているということも学ばせていただく貴重な機会となりました。
森下さん、雀部様、今回はお忙しい中お時間を頂き、誠にありがとうございました。



≪インタビューにご参加いただいた皆様≫
◇インタビュー対象者
バンドーI・C・S株式会社 勤務 森下 秀昭 様(就職者)
バンドーI・C・S株式会社 管理本部 人事・総務部 部長 雀部 直史 様 

◇インタビュアー
クロスジョブ堺  辻
クロスジョブ梅田 大倉、関山