2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問記 第5弾

企業訪問記 第5弾『ドコモ・プラスハーティ』様

~企業紹介~

携帯電話でお馴染みのNTTドコモグループの特例子会社

東京都内に4拠点、神奈川県横須賀市に1拠点、大阪に1拠点あり、従業員数は129名でそのうち86名が障害がある方々です。(2018年5月1日現在)

知的障害者の方を中心に自社採用するとともに、ドコモグループ各社の障害者雇用・定着を支援するために2015年10月に設立され、翌年2月にNTTドコモの特例子会社として認定されました。主な業務はドコモグループ各社のビル清掃と社員向け障害者関連研修、障害者雇用・定着・育成の支援をされています

 

◆企業様へのインタビュー

 

・クロスジョブ(以下略して「C」と表記):障害者雇用を始めるきっかけを教えていただければと思います。

 

ドコモ・プラスハーティ辻様(以下敬称略「T」と表記):もともと電電公社(日本電信電話公社)の時代から障害者雇用は積極的で、そのときは身体障害の方の採用をしていましたが、知的障害の方も雇用して一般の方と同じように働いていただくという考え方がドコモだけではなく、NTT全体の方向性はあります。社会的な要請と会社としての考え方とマッチしたところで始まりました。

 

・C:一般の従業員と手帳を持っている方が一緒にはたらくということは会社全体の受け入れはどうだったでしょうか。

 

T:関西としてできたのが半年たっていないですが理解いただいていると思っています。障害者を理解していこうとする気持ちが強い会社なので、そういう意味ではとりくみやすかったと思います。

東京ではプラスハーティとして知的障害の方を雇用してきました。心配はありましたが、うまくやってきたと聞いています。大阪南港については、今後知的障害の方を雇用して仕事をしていただいて、その中でいろいろ育成するというコンセプトをプラスハーティからだけでなく、ドコモの関西支社長からも南港ビルのなかにきっちりアナウンスしてもらいました。周りの方も理解があり、スムーズにすんなりとなじみ、清掃している際に「お疲れ様」、「頑張っているね」、と声をかけていただき、応援していただいています。

 

・C:使われている用具がカラフルなもの、実用性のあるものが多いですが、用具はどういう基準で選ばれているのですか。

 

T:T(清掃資機材を販売している企業)というところが、障害のある方に理解をもたれていて、本社のほうでT会社とタイアップしながら清掃活動をやっていました。道具の使い方であるとか、どういう障害にどのような道具が使いやすいかなど、ノウハウをもたれていたので、吸収しながら進めています。

そういうところから知識、方法、ノウハウを与えていただいています。そこに指導で月1回きていただいて、業務提供とケアのところもタイアップしてやっていただいています。また、レベルの高い薬剤をつかっていて、アメリカの病院の基準に合致したものを使っており、安心安全に使えるので、利用させていただいています。

 

・C:メンテナンスも皆さんでされているようで、常に用具もきれいな状態が保てていて、用具自体の清掃も大変かと思います。

 

T:使ったら必ず拭いたり、畳んだりして元どおりにしてしまいます。クロスも自分たちで洗濯して干してまた使うというかたちで、ものの大切さを学んでほしいと思っています。自分たちできれいにして片づけるということを実体験でやっていただこうと思っています。はじめはコーチも手伝っていましたが、最近は自発的に片づけもやっていただいていて、どんどん前へ進んでいます。

C:準備から片づけまで自分たちでやっているのですね。

T:入社してすぐは覚えるまで、時間はかかりましたが、今は大丈夫です。

また、最初はチーム編成を変えると言ったら抵抗もあり、なじむまで時間もかかりました。しかし最近は抵抗もなくすぐに馴染んでもらって、チームでの仕事もしてもらっているので、すごく成長しておられます。知的障害の方と仕事をしたことがなかったので、心配はありましたが、障害を感じさせないところがあると思っています。

 

・C:チームで清掃をされていますが、チームでのメリットやデメリットを感じることはありますか。

 

T:チームですることで明るいといいますか、みんなでやっているという雰囲気がいいかと思います。

孤立してない感じがあるので、仕事中はそれぞれの分担をもちながら、誰かの作業が止まっていたら、後ろから手伝おうかと声かけがあります。ひとりずつでやっていたら、ひとりで全部やらなければなりませんが、チームでしているとチームワークとしてつながりがしっかりできているので、いいかなと思います。デメリットは、なかなか仕事をやってくれないとか、いつもと違うやり方は困ります、という声があがるなど、そういう些細なことはありますが、コーチのサポートで円滑に流れています。それよりもメリットの方がずっと大きいです。クロスジョブさんからきているNさんも最初はひとりで全部しなければと思っていましたが、みんなでワイワイしながらできるのでいいです、と言ってもらっています。

C:Nさんもびっくりするくらい、口数が増えていたり、表情が柔らかくなった印象がありますので、チームで補足し合って良いところだと感じています。

T:可能性をもっておられます。最近はカラオケにはまっておられるようです。

C:新しい方々が入ってこられたときは、チームのなかで教えあったりされているのですか。

T:先輩が後輩に教えてくださいという話はしました。最初のうちは教えながら一緒にやってもらっていましたが、最近は後輩がうまくなっているところがあったり、先輩後輩ではなくて、お互いに教えあっています。それぞれ個性があり、言い方がキツイ方もいれば、優しく言ってくれている人もいますし、言い方はしっかりと言ってもらったほうがわかりやすいという方とキツイ言い方でしょぼんとされる方がいるので、そのあたりはコーチが見ながらサポートしないといけないと感じています。

C:これだけの人数の方がいらっしゃると、それぞれ性格や特性があると思いますが、コーチがフォローしたり、話を聞いたりするようなことで、聞き取りされているのですか

T:そうですね。まだ先月に始めたばかりですが、月1回、コーチとスタッフのマンツーマンで面談というほどではないですが、困っていることはないか、楽しいことあったかなど、これからみんなの声を聞いていきたいと思っています

 

・C:スケジュールが見えやすいところに貼っています。これらはその都度その都度こういうものがあったらいいと工夫をされているのですか。

 

T:急にスタッフも何人か休んだりするので、スケジュールなどはコーチがどうしていくかなど、予定の見える化をしています。

最初のうちははきちっとしておかないとなかなか動けませんでしたが、最近は気軽に変化に対応してくれるようになってきました。だいぶ仕事も覚えていただいていますので、どの仕事でもできるという自信もあるのかもしれません。

そこまで教えているわけではない、声かけはしていますが、それ以上に自分たちで理解して、これはこうしたらいいかなとやってくれています。半年の段階でここまでやっていただけると思っていませんでした。

C:スケジュールの張り紙などを見て、こうやって動かなければいけないなとか、ここ休みだから入りましょうかということをお互いでされているのでしょうか。

T:そうやりたいのですが、もう少し時間が必要と思っています。

夏休みの計画も貼っていますが、みんな興味があるようで、だれがいつ休むかなど話題作りにもなっているようですし、何か貼っておけば興味を持ってみてくれます。それが癖付いて、お知らせや注意事項を自分で見て、自分で理解して、自分で行動するようになっていただければと思います。できるだけビジュアル化していきたいと考えています。

C:6月の目標がありますが、皆さん自分で考えて書いているのですか。

 

T:はい。名前を書いて、何でもいいので目標を書いています。スイーパーをやりたいので、道順を覚えたいとか、難しい床を拭いていく非常に難しい機械があるのですが、Nさんはそれにチャレンジしたいと言ってくれています。それなりに皆考えて、書いてくれたので、目標をもっていただければ必ず向上していくと思います。

 

・C:清掃の機械を使っていますが、廊下が広いので体力が必要ですね。

 

T:歩数計をみんなのストラップにつける企画もしています。

食堂、事務室など、かなり歩いていると思っています。大変ですが、慣れてきていると思います。体を使う仕事だと思います。

C:みなさん朝も早いですし、会社としてみなさんの体調管理でみなさんの体調管理で気にされているところはありますか。

T:基本は自分の体は自分で守るとみなさんに伝えています。

しんどかったら言ってください、頭が痛かったら言ってください、お腹痛かったら言ってくださいと言っています。最近はみんな言ってくれていますが、以前はしんどいと言ったらだめという意識があったようです。お腹が痛くなったら、ソファに寝て頂いたり、治らなければ休みをとって帰っていただいたりもしています。

前日に何かあれば前日のうちに病院に行ったり、薬を飲んだりして自分で体調管理をしてもらうように言っています。また、風邪がはやったらうつらないように、手洗いうがいをして病気の予防をしています。自主的に体重を毎日量って、体重を落とすという方がいるので、そういう方には積極的に支援をしたいと思っています。

 

C:体を動かすからこそ、みなさん自分で意識をされているのですね。

T:なかには無理する方がいるので無理しないように周りで注意したいと思っています。

 

・C:すてきなコスチュームで作業されています。清掃のイメージが変わったと思いましたが、そこは意識されているのですか。

 

T:当初からユニフォームはこのかたちと決まっていて、それはこちらでも継続しています。みんなも気に入っていて、嫌ということなく着ています。ビルの中でも茶色のユニフォームはハーティと理解してもらっているので、ユニフォームを着ると自覚も生まれてきますし、周りの方もわかってもらえるので、ユニフォームを活用しているところもありますね。

 

・C:今後も雇用率が上がってくる中で、障害者雇用を進めていこうという企業さんが増えてくると思いますが、そういったなかで障害者の方を雇うということでアドバイスやご意見を頂戴できればと思います。

 

T:それぞれの人の可能性を信じるというか、こんなものだと思わない。私自身素人なので、そういうやり方がいいかわからないですが、給料をもらっている社会人なので、社会人としてきちっとやっていこうというのであれば、社会人としてはこういう風に言われますよとか、社会人としてはこういう気持ちでやってくれよと伝えていきたいので、厳しい目に言っているところはありますね。障害者だからと言って、甘やかすのではなく、障害と言うことには配慮しつつ、一般の方と同じように接し、指導して行きたいと思います。ときには否定的にやってはいけないとお伝えして、私のやり方でやっています。それが他の企業でいいかどうかは、それぞれのところで判断していただかないといけませんが、ここではそれで傷ついたという声もないと思いますし、実際に注意することによって向上してくれている人もたくさんいます。それぞれの人が良いところを持っているので、それを活かせるようなアドバイス、フォロー、サポートをしていけたらいいと思っています。

それがいいのかどうかはそれぞれの企業さんや支援機関で考えていただいて、私のやり方としてはそういう風に考えてやっています。

 

【訪問を終えて】

 清掃する場所から場所への移動距離があり、体力が必要なお仕事ですが、みなさん機敏に動いておられ、作業に慣れている様子を拝見しました。チームで清掃をされていましたが、お互いに声をかけておられ、段取りよく仕事をできる環境を作っておられました。

ドコモ・プラスハーティ様の取り組みとして、障害者の方々がその能力を発揮できるように、使いやすい機械を導入されておられたり、見えやすい場所に作業の手順が写真つきで貼っているなど、様々な工夫を取り入れておられました。会社全体で障害者雇用に前向きに取り組まれている様子をインタビューで拝聴し、安心して働ける環境づくりが大切であることを学ばせていただきました。

今回、業務運営部大阪南港センター長の辻乃介様にインタビューをさせていただきました。終始、丁寧に多くの質問に答えてくださいました。お忙しい中、お時間を作っていただきありがとうございました。


 

≪インタビューにご参加いただいた皆様≫
◇インタビュー対象者

株式会社ドコモ・プラスハーティ 業務運営部大阪南港センター長 辻 乃介 様

◇インタビュアー

クロスジョブ阿倍野 出原、田中