企業訪問記 『SOMPOコミュニケーションズ株式会社』様

2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問 第11弾

 

今回は、「2018年度クロスジョブ雇用促進フォーラム」企画として、SOMPOコミュニケーションズ株式会社の長谷様・永田様にインタビューに伺わせて頂ました。

勤務されているAさんはコールセンター内で、加湿器や食堂の清掃などファシリティ関連の管理業務を担っておられます。

今回は、3年勤続表彰を迎えるにあたり、企業様の雇用管理の考え方、またご本人の成長についてお話を伺ってきました。

 

1.就職~雇用初期について

 

クロスジョブ(以下「C」と表記):まず、Aさんの採用のきっかけを教えて下さい。

永田様(以下敬称略「N」と表記)約3年前、当社の事業拡大に伴い、社員も増えてまいりましたので、障害者雇用を拡大しよう、ということとなりました。Aさんは採用に至った4人目の方で、事務スタッフとしてお仕事をお願いしております。今まで3名の方に就業していただきましたが求めるスキルが高かったり、うまく職場に馴染めず就労継続が難しかった、という経緯があります。

ですので、社内で再検討し、一般事務の定型業務自体が、求めるスキルが高いのでは?ということになり、募集内容を見直し、現在の軽作業と事務補助、という内容に変更、事務スタッフとしてご入社いただき、今回初めて長期間働いていただいています。

 

C: Aさんの採用の決め手はなんだったのでしょうか?

長谷様(以下敬称略「H」と表記)訓練でのスキルは当社でお仕事をして頂くうえにおいては十分なものでした。そして、間に入っていただくクロスジョブの支援担当者さんと、ジョブコーチの支援体制がしっかりとしていたので、不安なく雇用に至りました。すごく信頼できた、ということが決め手だったように思います。


C:個人情報を多く扱う企業様はやはり、支援者の介入が難しいことが多いですが、支援者の現場介入を受け入れるにあたってのきっかけや決め手などはあったのでしょうか?
N:当社としては情報管理の自負もありますし、紹介していただいているという安心感と、企業同士の信頼関係だと思います。

C:ありがとうございます。やはり実際入らせていただくことでご本人さんの様子も密に分かりました。

 

C:何か、配慮されたことはありますか?

N:Aさんとジョブコーチのやり取りを見ていて、こんな風に接していいのだ、と思ったのを覚えています。はっきりと伝えたほうがご本人にはわかりやすいのか、と思いましたので私も参考にさせていただきました。

 

C:現場で周りの方の理解を得るための取り組みは、どのように進められていきましたか?

N:はじめは、私が社外研修で障害者雇用について受けた内容を現場社員と、直接、接する同僚の事務スタッフそれぞれにレクチャーしていきました。しかし、話を聞いただけでは特性をなかなか理解できないことも多くありました。

そこで、実際に現場で一緒に働くようになってから、更に事務スタッフを中心に面談の時間を取って、「なぜ一度で理解できないのか」「なぜ空気を読めないのか」について時間をかけて説明をしていきました。事務スタッフに対するフォローが足りないことも正直あったと思いますが、なるべく話を聞いてうまくコミュニケーションを取れるように工夫しています。Aさんも今は「大丈夫です」とおっしゃっていますので、落ち着かれているのだろうと思います。

C:ご本人だけでなく、同僚スタッフにも面談の時間を取って、悩みを一人で抱え込まないように入って頂いた事が非常に大きかったと思います。

N:そうですね。一番大切なことであったと考えています。

 


C:やり取りに関して質問です。新しい業務をお願いした際、伝わりにくかった事はありませんでしたか?

N:リスト化をすること、時間を細かく区切ることを行い、伝わりやすいように工夫しました。一緒に働く先輩事務スタッフも共通して見ることができるように可視化して、Aさんがいま何をしているのかわかりやすいようにしています。

C:Aさんが他の現場の方々と同じ業務内容をすることはありますか?

N:周りの事務スタッフがカバーすることはありますが、全く同じ内容をすることはあまりありません。担当業務はご本人に持っていただいています。

 

C:終わったら、報告するようにしていますか?

Aさん(以下敬称略「A」と表記)最近は、あまりしていません。

N:始めの頃は、一つ終わったら報告する、という風にしていたのですが、最近は優先順位を付けて仕事をすることができるようになってきていますので、ご本人の判断で仕事の順番を決めていただいています。

C:報告が多いと、ご本人さんの負担になる場合や、社員さんにとっても「そんなこと、報告しなくてもいいよ」というようなことも出てきたりして、悩む場合が多いです。「マイルール」のようなものができていて、困っているのですといったお話が出ることもあるのですが、そういうことはありませんでしたか?

N:やはり、初めの頃はありました。

優先順位がこちらの考えているものと違った、ということです。しかし、こちらからも「自分の仕事は、考えて組み立てて良いよ」とお話もしていましたので、根気強く待つようにしていたところ、ご自分で考えてやりやすいように工夫していって下さいました。

ご自分から、「自分の仕事に責任を持っている」というお話もありました。

3年半の間に当日欠勤は1日のみです。ご本人の特性なのかもしれませんが、発熱があっても、「自分の仕事があるので」といつも通り出勤しようとされていました。

 

C:良い感じですね。クロスジョブの訓練では「報告・連絡・相談」をしっかりと身に付けていくようなプログラムを組んでいますが、それはAさんにとってよかったですか?

A:最初はそれでいいかもしれません。だんだん、自分でやりやすいほうが良いのではないかと考えて相談して、少しずつ変わっていくようになりました。
C:初めはご自分で工夫を考えることが苦手な方だったかと思いますが、そうやってご自分で考える機会を与えて下さったからこそ、徐々に力が備わって来たのではないかな、と思います。

A:はい(そう思います)。

 

 

2.Aさんの業務内容について

 

C:仕事の切り出しはどのようにされていますか?

N:先輩事務スタッフの2人が持っていた業務を渡して頂きました。それに加えて、定期的にできるファシリティ関連の業務をやって頂いています。

Aさんがそのお仕事をしてくださっていて、他の従業員が働きやすくなっているのではないか、と考えています。従業員が約300人いますが、ファシリティ関連の管理は後回しにされやすいが、取り組みたい課題でもありました。

H:それまで、ファシリティの管理や会議室の清掃はやらないといけないことだけど、やる人もいない、時間もない、という状態でした。なんとかうまくスケジュール管理して取り組みたかったというニーズがあがっていたところ、Aさんに入職して頂いたことで、お互い利益を得ることができ、WIN-WINな関係になりました。

N:ファシリティ関連が綺麗に管理されることで、ES(=従業員満足度)も上がっていきました。

H:本社から役員がきても、大阪が本当にきれいな職場だ、とお褒めの言葉を頂くようになりました。これはAさんの頑張りのおかげだと思います

N:先ほどのESのお話でもありましたが、結果的に、オペレーターが気持ちよく働けてお客様対応も良くなるということもお伝えしています。休まず出勤することができるようになって、この職場が好き、と言ってくれることで結果的にお客様対応に繋がるのだよ、というお話を面談の際にAさんにさせて頂きました。

C:そういった意味では、定期面談というのは大切ですよね。

企業側からすると、初めの頃は仕事をやってくれてありがたいけど、だんだんやって当たりまえになっていくことが多いです。そうすると、雇用された方はすごく不安になっていくのですよね。自分は役に立っているのだろうか、このままでいいんだろうか、と。
N:そうですね。面談のほかにも、月報は毎月書いていただくようにしていて、いつもしっかりとつけてくれています。

 

C:雇用初期のころは、どのくらいの頻度で面談をしてくださっていますか?

N:初期の頃は、2週間に一回程度でした。クロスジョブさんの訪問もあったので。

  それと並行して、月報は書いていただいて、一ヶ月に一回は面談をさせて頂いていました。

H:それが安心ですよね。自分の仕事を他の人から評価してもらえるのは。

A:はい。

 

3.企業にとって障害者雇用とは

 

C:Aさんと関わっていく中で、こういうところが難しかったな、というものはありますか?

N:私からではなくAさんの先輩事務スタッフからの意見なのですが、初めの頃は、忘れてしまうことやメモを取っていても質問してしまうことが多かったということがありました。ですので、メモではなくノートに書きためていきましょう、というお話をしました。

C:そうすることで、聞き返しの回数も減っていきましたか?
N:そうですね。
C:書きためる内容は、Aさん自身の判断で書いていただきましたか?
N:そうですね。面談の時間にどんな内容を書いているのか確認させて頂いていました。
C:ご確認してくださる、というのは安心できますね。マニュアル代わりに使用していくことができますね。
C:Aさんも、見返す習慣はつきましたか?
A:必要なときは、机の上に置いて、見返していました。
H:業務内容はある程度マスターしたので、最近はあまり見返すことがなくなったかな、と思います。
A:わからなくなったら、見るようにしています。
C:質問する前に、見返す、という習慣がついてきましたね。

初めのころに比べると、大きな変化が得られていると思います。


C:その他に、大事にしていることはありますか?
N:はい。周囲の声を拾い上げる、ということが非常に大切だと思っています。

まず、社員と事務スタッフと説明する機会は分けるようにしました。社員であれば、会社目線で話ができるのですが、アルバイトの事務スタッフに会社の考え方を押し付けても理解を得られないことが多いので、そこは分けて考えるようにしました。

例えば、障害者を雇用する意味について、社員には法定雇用率がどうという話をしますが、アルバイトスタッフにとっては会社の都合になってしまうので、法定雇用率という話を抜きにして、一緒に仕事をする上でどうしたらいいか、仲間として、どうやっていくかという話をして、そのなかでどう特性と向き合っていくか、とお話をしました。

C:大変難しいお話だと思いますし、すごく時間がかかるのではないですか?
N:そうですね。正直、いまもどこまで伝わっているのかわかりませんが、だんだん接し方が変わってきたな、という感触はあります。

 

C:アルバイトスタッフは、入れ替わりが激しいから大変だったのでは?

N:いえ、当社は勤続が長いスタッフが多いのですが、何でもできてしまうがために、「どうしてできないの?」と思ってしまうこともあったようです。不満が溜まってしまう場合もありましたが、ひたすら聞き役に回ってクッション役に徹しました。

C:やはり、彼が必要なのだ、ということが見えてくると変わってきますか?
N:それもありますが、Aさんが「自分の仕事に責任を持って取り組む」というなかで成長がみられたので、そこも周囲の理解を得るためには重要なことであったと思います。ご本人と、周囲双方の成長が必要になると思います。

C:現在、これだけ障害をお持ちの方の就労が広がっている状況で、雇用される側が「会社がどれだけ配慮してくれるのか?」という視点ばかり強調されている風潮にあります。

私は、そうでは無く、まずは周囲の方が認めてくれるくらいの仕事ができないと配慮ばかりを主張できないのではないか、と思うのですが時代の流れからか、「会社はどれだけ発達障害をわかってくれるのですか?」と言ってしまう方もいらっしゃいます。

Aさんの場合は、ご自分の努力と周囲の理解がちょうど良い歩調で合っていったので、うまく就労を継続できているのではないかと思います。
N:ありがとうございます。

C:すぐには結果が出なかったとは思うのですが、一言で言って、秘訣はなんですか?
N:ご本人が一生懸命やろうとした姿が見えたので、どうにかしてあげたい、と思いました。それしかないですね。

 

4.今後について

 

C:3年というサイクルが来て、どのような節目だとお考えですか?

N:正直言って、あっという間に過ぎたなという感覚です。

ただ、面談の時にAさんにお聞きしたところ、「ハッキリは分からないけど、まだやれる事はあると思う」とおっしゃっていました。ここからまた違う業務に挑戦できていったらいいかな、と思っていらっしゃるようです。
C:働き始めた頃は目の前のことに一生懸命でしたが、いまそのような前向きな考え方ができていることが大きな変化だと思います。3年働いてきて自信がついた、ということもあるかと思います。
N:実際、生産性も上がってきました。お仕事も速いですし、そのぶん空き時間もできたりしています。ビジネスマナーの本を読んだり、以前の資料を読み返したり、何か違う業務に取り組んで頂いたり、というふうに時間をつかって頂けたらと思います。

 

C:勉強というのはどのようなことをされるのですか?

N:今この時期に再度取り組んで頂くのも良いかなと考えております。

C:今後、Aさんに頑張ってほしいこと、こういうことができるようになってほしい、という展望はありますか?

H:ご縁があって勤めて頂いていますので、3年と言わず、今後も長く勤務していって欲しいと思います。

あとは、これは私どもの課題でもあるのですが、もう少しお任せできるお仕事を切り出して行って、もう一段高いレベルのお仕事ができるようになって欲しいと思います。

C:進んでいこう、という気持ちはお持ちの方ですので、ゆっくり時間をかけて着実に身に付けていく力をお持ちの方だと思います。

 

C:では最後に、いくつかAさんに質問をさせて頂きたいと思います。クロスジョブでやっていた訓練のなかで、就職した後も役に立った作業はありますか?

A:パーツパッキングです。声を出すことに慣れたな、と思います。

C:反対に、苦手もしくは嫌いな作業はありましたか?

A:嫌いな作業はありませんでしたが、眠気がでてくるのでパソコンが苦手でした。

 

C:就職して、よかったことはありますか?
A:家にお金を入れる様になったことは、よかったな、と思います。

 

C:Aさんのなかで、3年前就職したばかりの頃と、いまとを比べてみて変わったことはありますか?
A:生活習慣が良くなりました。朝起きて、すぐ仕事ができるような体になりました。

 

C:お休みの日の過ごし方を聞かせて下さい。
A:家にいるか、外に出るかです。外に出るときは、京都や奈良に行くこともあります。
C:家の中にいるよりは、外に出るようにされているのですね。いま、クロスジョブでは就職に向けて努力しているたくさんの方がいらっしゃいます。その方々に向けてメッセージを頂けますか?
A:良く話をきいて、メモをすることが大事だと思います。

あとは、苦手なことを会社の方に知ってもらうことも大事だと思います。

C:ご自分で努力をしっかりとすること、そしてご自分のことを知ってもらうことが大事ということですね。

ありがとうございました。

 

▽【訪問を終えて】≪阿倍野事業所・萩原≫


SOMPOコミュニケーションズ様から伝わったのは、本気で障害者雇用に取り組まれている、という芯の強さでした。当事者の方1人からお話を聞くのではなく、同じ部署ではたらく方々からお話を聞き、そして社員さんとアルバイトさんによってお話の内容もかえているという思慮の深さ、対応の丁寧さが強く感じられました。

Aさんが真摯に仕事に向き合ってきた3年間があるからこそ、今後も仕事を切り出し「もう一段高いレベルのお仕事をできるようになって欲しい」と期待して頂けているのだと感じました。謙虚で勤勉な姿勢は、非常に素晴らしいと思います。就労した後からどんどん成長しているAさんを、これからも応援したいと思います。大変貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。。


 

≪インタビューにご参加いただいた皆様≫

◇インタビュー対象者

SOMPOコミュニケーションズ株式会社

人事総務部  課長   長谷絵里子 様

大阪センター 課長代理 永田由美 様

クロスジョブOB Aさん

◇インタビュアー

クロスジョブ代表理事:濱田

クロスジョブ阿倍野 :長谷

クロスジョブ阿倍野 :萩原

チャレンジャーズ  :中村