スタッフの一日

杉山登志郎『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』2018年11月12日

今日は読書感想を書かせていただきます。

 

杉山登志郎

『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』を読了しました。

 

著者の杉山先生は児童精神科医で、『発達障害と子どもたち』『発達障害といま』の著者でもあり、

今回紹介させていただく本は、それらの続く1冊となっています。

 

この本のタイトルは「子育てで一番大切なこと」とネーミングされていますが、発達障害の方々の子どもの頃からの発達や、養育、その環境、発達障害の種類、社会資源のあり様、それら課題や社会背景・社会的問題、トラウマの治療法など、幅広く取り上げられており、育児本というよりは専門書に近くなっていました。

 

本のタイトルにもある「愛着」ですが、

 

愛着は“アタッチメント(attachment)”という英語を訳した言葉。

アタッチメントは触れてくっつくということ、日本語では“近接”を意味する

 

と説明されていました。

愛着が形成されると、「養育者のイメージが子どもの意識に内在化し、心の中にある安全基地があることで、世界に出て冒険できる」。

そして「発達凹凸があっても小学校中学年くらいに愛着形成がきちんとできる子が多い」とのことです。

この愛着形成が人間関係の基本となります。

しかし、これが脆弱だと人生全体に影響を及ぼすことがあると杉山先生は述べておられます。

 

 この本では、先日NHK「プロフェッショナル」で登場されていた小児神経科医の友田明美先生の研究結果をとりあげ、安心できない状態で育った子どもは、愛着障害になり、虐待によって脳自体も変わってしまうという衝撃的な現実を記していました。友田先生は、虐待が脳に与える影響を世界で初めて実証されたそうです。

 

 社会資源として、家族に代わって社会で子どもを育てる仕組みはあるものの、日本の子どもの人口からすると全然足りないこと、施設の大半が大舎制、職員の数が著しく少ないなど、課題が山積みであることが示されていました。

 

 課題の提示だけではなく、トラウマに対してどのような治療法があるのかについて紹介されており、愛着の修復についての可能性についても触れられていました。先日のプロフェッショナルでも友田明美先生が研究途中であるものの、愛着障害による脳の修復の可能性を模索し、治療を進められていました。

 

 本の内容がかなり幅広くなっておりましたが、最終章には子育てで大切な10項目について挙げられていました。

 本の全体を感想としてまとめることは難しいですが、支援の土台となる知識として、とても重要なことをこの本から学ぶことができました。

杉山登志郎『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』


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