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こんにちは! 阿倍野事業所の田中です。 前回投稿しました日本職業リハビリテーション学会の報告、第2弾です! 本投稿では、ポスター発表、ワークショップの報告をさせていただきます。    ポスター発表のなかで、関心のあった報告の1つは「メンタルヘルス不調を抱える男性休職者が復職する1つの事例において、家族のかかわりがどのように作用していたか」についてご本人へのインタビューデータから質的分析をし、考察されていました。結果、「家族が指示的にならず自然に構えていることで、本人に家族からの共感を感じさせ、受け入れられているという安心感をもたらしていた。」と示されていました。家族が自然にふるまっていると感じるためには、傷病手当金の利用、復職までの期間など実質的な生活面への不安要素を最小限に抑える必要についても示唆されていました。発表者の湯沢様(筑波大学大学院博士前期課程)ともお話させていただきましたが、発症前と変わりない生活を家族が送ることが本人に安心感をもたらすことはわかったが、では家族が変わりない生活を送るためにはどうするか、その支援を考えていくことがこれからの課題ですとおっしゃっていました。湯沢様の報告はうつ病の方を対象とされていましたが、私の日々の支援においても、高次脳機能障害で復職を目指しておられる方、復職してから職場で頑張っておられる方の支援を行っていることから、その方々のことを思い浮かべ、引き寄せて考えさせていただきました。ご本人が安心を感じるためには、一番身近な家族の方々も安心して生活できることだと改めて学ばせていただき、私もご家族の方の安心を意識して支援をしていきたいと思いました。    午後の後半は、自主ワークショップ「支援でつなげる職業リハビリテーション~教育から職業への移行(トランジション)に焦点を当てて~」に参加させていただきました。ここでの「移行」とは、「学校教育の場から、就労等により社会参加していくこと」と説明されています。  ワークショップでの各報告からは、学校と就労移行支援事業所との評価や基準のズレ、考え方の違いが指摘されていました。上原氏(ひゅーまにあ総合研修センター)の報告では、作業中に疲れて集中できない、ペースが落ちてきた場合に、学校では席について作業を続けることを求められるが、就労移行では休憩を申し出ることが行動として求められることを示されていました。また、評価基準としては学校では達成度(個人基準)、就労移行では貢献度(組織基準)であり、学校と就労移行のズレについて具体的に提示されていました。利用者の方々はこのズレに戸惑うことがあるため、アセスメントのポイントを明確にし、支援計画に明示する必要があると報告してくださいました。  指定討論者の山口氏(高松大学)は職業リハビリテーションではどの工程でつまづくか、手順はあっているかという部分に焦点を当てるが、教育は「のびのびした人材の育成」という考えになるが、どちらが悪いということではない、お互いが違うという前提で連携していくことが重要だと示唆されていました。  また、学校はボトムアップ的アプローチ(積み上げ型思考)で何ができているか、次に何が積み上がりそうかを見ていくが、職業リハビリテーションではトップダウン的アプローチ(目標設定思考)で、何をしたいか、そのために何がどの程度できていて、どのように工夫することでどの程度改善するのかを見ていく、というように学校と職リハとの違いを教えてくださいました。    阿倍野事業所では高校卒業後に利用される方は少ないですが、学校はもちろん、このようなズレは対学校のみのことではなく、他機関との連携においても生じることと思いました。  学校・教育に携わる方々のみならず、支援者間でこのような違いを明確にしたうえで連携することが、利用者の方々の不安や困惑を解消するということをワークショップで学ぶことができました。    1日のみの学会参加でしたが、ここに書ききれないほど、とても多くのことを学びました。また、先日神奈川から阿倍野事業所に見学に来てくださった方々とも偶然会い、少しおはなしさせていただいたり、ポスター発表の方とお話させていただいたり、休憩時間に周囲の方々が熱心に話されている様子を見聞きさせていただき、その熱気をとても楽しく感じさせていただきました。今後も参加できるときには、どんどん学会に参加し、学んで、支援に活かしていきたいと思います!