発達障害とは、先天的な脳の機能障害であり、中枢神経系の何らかの機能不全で起こると推定されます。親の育て方や環境によって起こるものではありません。
発達障害者支援法において、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
できることと、できないことの差が大きい。
「頑張ればできるのに、本人の努力不足」と本人も周囲も個人の性格・個性の問題と捉えてしまうことが多いです。
«発達障害の関係図» 厚生労働省『発達障害の理解のために』より
発達障害はこのように、様々な特性が重なり合い明確な区切りがありません。また、これまでは発達障害児というと、知的な遅れがあると認識されていましたが、アスペルガー症候群やADHD のように学業の遅れが目立たず、それどころか中には非常に知的能力が高く、専門分野で活躍している人もおり、発達障害は分かりにくく、大人になるまで見過ごされることも多い障害です。
クロスジョブでも高校・大学卒業後、また就職後に診断をされた方が多くおられます。
これまで一般就職で離転職を繰り返してきました。職場では失敗・怒られた経験が多く、本当に就職できるか不安が大きく、自信もなくなっていました。困ったことも一人で抱え込みがちで、しんどくなると体調不良になり休んでしまうことが多かったのです。
週1回定期面談で、得手・不得手、仕事で学んだことを整理し、自己理解を深めます。そして面談を通し、“人に頼ること”“相談すること”に慣れてもらいました。就職までの見通しが持てないことにも不安があるため、“いつまでに、何をどうするか”という就職までのステップと就職後のサポートを提示することで、安心して訓練に臨めました。
困ったことやイライラしたことがあると、どう対処していいか分からず、泣いたり腹立たしさで作業に集中できなくなることがありました。相談も周囲の人みんなに話したり、想いを全部伝えようとする気持ちから相談時間が長くなることで、周囲の人も困ってしまうことがありました。
Bさんに合ったクールダウンの方法を一緒に探しました。Bさんの場合、想いや対処方法をノートに書き出すことで、頭の中が整理されすっきりすることができました。また、誰にどのようなことを相談するのかを整理し決めておくことで落ち着いて話せるようになり、職場での相談の仕方が身についていきました。うまくできた点を一緒に確認すること、「こんな考え方もあるよ」と違う角度から見ることで、今まで気づかなかった自分の良い点や物の捉え方が発見できてきました。
働いた経験がないCさんは、求人票や求人雑誌を見てもお仕事内容や求められるスキルなどが分かりません。職場での挨拶も「どれくらいの声の大きさで挨拶したらいいか分からない」とイメージが湧きません。質問もしなければと思うけど、声のかけ方やタイミングが分からず立ちすくんでしまいます。
「あれやって」「これやって」というあいまいな表現や指示は分からないので、「何を、いつまでに、どのような方法でするか」という具体的な指示を出すこと、挨拶もまずはスタッフが見本となり声の大きさを示し練習しました。質問も「今いいですか?」「あとでお願いします。」と質問の時言葉を、フレーズとして覚え、訓練で場面ごとに実践練習を行い都度その場で確認を行う中で徐々にできるようになりました。働くためのイメージ作りは何と言っても企業現場での実習体験と見学です。事務や部品の検品作業、おしぼりの加工など、色々な職種にチャレンジすることで、何となくやりたいなと思っていた仕事からできる仕事、自分に向いている仕事、自分に合っている職場環境を発見することができました。