発達障害とは

発達障害とは

発達障害とは、先天的な脳の機能障害であり、中枢神経系の何らかの機能不全で起こると推定されます。親の育て方や環境によって起こるものではありません。
発達障害者支援法において、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

脳機能障害の一種で脳機能の発達の凹凸(偏り)、発達のアンバランスさがあります。

できることと、できないことの差が大きい。

障害のわかりにくさからくる誤解・偏見

「頑張ればできるのに、本人の努力不足」と本人も周囲も個人の性格・個性の問題と捉えてしまうことが多いです。

2次障害としてうつなど精神疾患など合併症を患う人もいます。

«発達障害の関係図» 厚生労働省『発達障害の理解のために』より

≪発達障害の関係図≫ 厚生労働省『発達障害の理解のために』より

発達障害はこのように、様々な特性が重なり合い明確な区切りがありません。また、これまでは発達障害児というと、知的な遅れがあると認識されていましたが、アスペルガー症候群やADHD のように学業の遅れが目立たず、それどころか中には非常に知的能力が高く、専門分野で活躍している人もおり、発達障害は分かりにくく、大人になるまで見過ごされることも多い障害です。
クロスジョブでも高校・大学卒業後、また就職後に診断をされた方が多くおられます。

発達障害の特徴

  • 1.社会性(対人関係)の問題

    • 人と親しくなる気がなかったり、人間関係の理解の難しさ。
    • その場の雰囲気や空気が読めず、場にそぐわない言動をとってしまう。
    • ビジネスマナーや社会常識に乏しく、職場の暗黙のルールがわからない。
  • 2.コミュニケーションの難しさ

    • 人の表情・態度などから相手の気持ちを汲み取れない。
    • 自分の言いたいことだけ話し、会話が一方通行。話があちこちに飛ぶ。
    • 会話が形式的、同じ言葉の繰り返しや独特の言い回しをする。
    • 抽象的な表現が分からない。言葉の意味を字義通りに捉え、冗談やユーモアが通じない。
  • 3.想像力の乏しさ

    • 特定の興味や手順・習慣・規則など、一つのことに強いこだわりがあり、融通が利かない。
    • 急な変更や変化、予期せぬこと嫌い、対応できない。
    • 経験していないこと、目に見えないことを想像することが難しい。
    • 白か黒か、0か100か二者択一・完璧主義の思考になりやすい。
  • 4.感覚過敏・過鈍性

    • 音や光、におい、味、触覚などに異常に敏感だったり鈍感だったりする。
    • 気圧や温度の変化に過剰反応する。
    • 痛みを感じにくく、怪我に気付きにくいこともある。
  • 5.運動障害

    • 体のバランスが悪く、不器用
    • 手先を使うものが苦手だったり、はさみなど道具の使い方がぎこちない。

クロスジョブでの支援

  • 1.相談・面談を重視し、じっくり想いやしんどさを聴き一緒に整理します。

    • 自分に向いている仕事が分からない。
    • 失敗や怒られることが多く、自信がない。
    • 新しいことにチャンレンジするのは不安が大きい。

[事例1]Aさん、男性 30代

これまで一般就職で離転職を繰り返してきました。職場では失敗・怒られた経験が多く、本当に就職できるか不安が大きく、自信もなくなっていました。困ったことも一人で抱え込みがちで、しんどくなると体調不良になり休んでしまうことが多かったのです。

週1回定期面談で、得手・不得手、仕事で学んだことを整理し、自己理解を深めます。そして面談を通し、“人に頼ること”“相談すること”に慣れてもらいました。就職までの見通しが持てないことにも不安があるため、“いつまでに、何をどうするか”という就職までのステップと就職後のサポートを提示することで、安心して訓練に臨めました。

  • 2.困ったときの対処方法・気持ちの整理の仕方を身に付けます。

    • 分からないことがあると頭が真っ白になってしまう。
    • イライラすると人や物に当たってしまったり、大きな声を出してしまう。
    • 嫌なことがあると落ち込んで気持ちが立て直すことができない。マイナスに考えてしまう。

[事例2]Bさん、女性、20代

困ったことやイライラしたことがあると、どう対処していいか分からず、泣いたり腹立たしさで作業に集中できなくなることがありました。相談も周囲の人みんなに話したり、想いを全部伝えようとする気持ちから相談時間が長くなることで、周囲の人も困ってしまうことがありました。

Bさんに合ったクールダウンの方法を一緒に探しました。Bさんの場合、想いや対処方法をノートに書き出すことで、頭の中が整理されすっきりすることができました。また、誰にどのようなことを相談するのかを整理し決めておくことで落ち着いて話せるようになり、職場での相談の仕方が身についていきました。うまくできた点を一緒に確認すること、「こんな考え方もあるよ」と違う角度から見ることで、今まで気づかなかった自分の良い点や物の捉え方が発見できてきました。

  • 3.具体的な働くイメージと職場での振る舞い方を学びます。

    • お礼や謝罪、質問や相談はどのタイミングで何て言ったらいいの?
    • これぐらいってどのくらい?程度が分からない。
    • 製造業ってどんな仕事?言葉で言われてもイメージできない。

[事例3]Cさん、女性、20代

働いた経験がないCさんは、求人票や求人雑誌を見てもお仕事内容や求められるスキルなどが分かりません。職場での挨拶も「どれくらいの声の大きさで挨拶したらいいか分からない」とイメージが湧きません。質問もしなければと思うけど、声のかけ方やタイミングが分からず立ちすくんでしまいます。

「あれやって」「これやって」というあいまいな表現や指示は分からないので、「何を、いつまでに、どのような方法でするか」という具体的な指示を出すこと、挨拶もまずはスタッフが見本となり声の大きさを示し練習しました。質問も「今いいですか?」「あとでお願いします。」と質問の時言葉を、フレーズとして覚え、訓練で場面ごとに実践練習を行い都度その場で確認を行う中で徐々にできるようになりました。働くためのイメージ作りは何と言っても企業現場での実習体験と見学です。事務や部品の検品作業、おしぼりの加工など、色々な職種にチャレンジすることで、何となくやりたいなと思っていた仕事からできる仕事、自分に向いている仕事、自分に合っている職場環境を発見することができました。